問 題
図は、パルス幅変調制御(PWM制御)によって50[Hz]の交流電圧を出力するインバータの回路及びその各部電圧波形である。直流の中点Mからみて端子A及びBに発生する瞬時電圧をそれぞれvA[V]及びvB[V]とする。端子AとBとの間の電圧vA-B=vA-vB[V]に関する次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) vA[V]及びvB[V]の50[Hz]の基本波成分の振幅VA[V]及びVB[V]は、それぞれ[V]で求められる。ここで、VC[V]は輸送波(三角波)vC[C]の振幅で10[V]、Vs[V]は信号波(正弦波)vsA[V]及びvsB[V]の振幅で9[V]、Vd[V]は直流電圧200[V]である。
vA-B[V]の50[Hz]基本波成分の振幅はVA-B=VA+VB[V]となる。vA-B[V]の基本波成分の実効値[V]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 64
- 90
- 127
- 141
- 156
(b) vA-B[V]は、高調波を含んでいるため、高調波も含めた実効値Vrms[V]は、小問(a)で求めた基本波成分の実効値よりも大きい。波形が5[ms]ごとに対称なので、実効値は最初の5[ms]の区間で求めればよい。5[ms]の区間で電圧を出力している時間の合計値をTs[ms]とすると実効値Vrms[V]は次の式で求められる。
実効植Vrms[V]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 88
- 127
- 141
- 151
- 163
解 説
この設問は問題文が長いのと図が複雑なのが気になりますが、与えられた式と数値を適切に使えば、見た目に反してB問題としてはさほど難しくない部類の問題だと思います。
(a)
実効値vA-Bが問われていますが、交流では最大値(振幅)を1/√2倍した値が実効値となるので、VA-Bを求める必要があります。
VA-Bを知るにはVAとVBが必要で、それを求めるにはVs、Vc、Vdの値が必要ですが、いずれの式も数値も問題文に与えられているため、これらを代入して以下のように計算していけば求めるvA-Bが出ます。
(b)
すでに計算に用いる式が与えられています。Vrmsを計算するために代入すべき数値はTsとVdですが、Vd=200と問題文にあるため、実質的にはTsさえ求めれば、答えが出ます。
Tsは「5[ms]の区間で電圧を出力している時間の合計値」なので、問題文に記載されている図の1番下にある「vA-B=vA-vB及びその基本波成分の最初の5[ms]の拡大波形」という図から、電圧を出力している時間の長さを全て(4つ)計算して、それを合計すればTsになります。
よって、あとは問題文にある式にこれを代入すると、Vrmsを求めることができます。
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