問 題
風力発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 風力発電は、風の力で風力発電機を回転させて電気を発生させる発電方式である。風が得られれば燃焼によらずパワーを得ることができるため、発電するときにCO2を排出しない再生可能エネルギーである。
- 風車で取り出せるパワーは風速に比例するため、発電量は風速に左右される。このため、安定して強い風が吹く場所が好ましい。
- 離島においては、風力発電に適した地域が多く存在する。離島の電力供給にディーゼル発電機を使用している場合、風力発電を導入すれば、そのディーゼル発電機の重油の使用量を減らす可能性がある。
- 一般的に、風力発電では同期発電機、永久磁石式発電機、誘導発電機が用いられる。特に、大形の風力発電機には、同期発電機又は誘導発電機が使われている。
- 風力発電では、翼が風を切るため騒音を発生する。風力発電を設置する場所によっては、この騒音が問題となる場合がある。この騒音対策として、翼の形を工夫して騒音を低減している。
正解 (2)
解 説
(2)について、風車で取り出せるパワー(出力)は「風速に比例」ではなく、「風速の3乗に比例」します。ちなみに、後半以降の「発電量は~好ましい」の記述はその通りですし、風速の3乗に比例するということは、風速という要因が風力発電においてはかなり重要なパラメータであることがわかります。
以上は重要知識として押さえておきたい内容ですが、運動エネルギーの式から考えることもできます。風力発電で取り出せる電力の式は以下の式で表すことができます。
- P:風力発電で取り出せる電力=1秒間に風車を通過する風のもつエネルギー [J/s]
- m:風の質量(1秒間に風車を通過する空気の量) [kg/s]
- v:風速 [m/s]
ここで、本来ならエネルギーの単位は[J]ですが、風というのは実体がない(質量がない)ものなので、ここでは「1秒あたり」として考えます。「1秒あたり」と時間を限定すれば、1秒の間に風車を通過する空気の量であれば決めることができるので、これが上式のmになります。
上式を見ると、Pはvの2乗に比例するように見えます。しかし、mは1秒間に風車を通過する空気の量なので、これも風速vに比例することがわかります。よって、これらを合わせると、Pはvの3乗に比例するということになります。
よって、正解は(2)です。
コメント