抵抗RとリアクタンスX、インピーダンスZはいずれも異なるものですが、単位は全て[Ω](オーム)です。抵抗Rで消費される電力は有効電力Pといい、リアクタンスXに蓄えられる電力は無効電力Qといいます。
実際の多くの回路では抵抗分とリアクタンス分の両方の性質を持っているので、これらをまとめたものがインピーダンスZで、相当する電力が皮相電力Sとなります(詳細は理論の重要事項で解説しているので、ここでは深入りしません)。
抵抗とリアクタンス、また、有効電力と無効電力は、それぞれ位相がπ/2(90°)ほどずれています。この場合、抵抗とリアクタンスの数は別軸となるので、たとえば抵抗Rが3[Ω]、リアクタンスXが2[Ω]であるからといって、それを合わせたインピーダンスZが5[Ω]である…ということにはなりません。
このようなときには、位相がπ/2(90°)ほどずれていることを強調するために、次のように表します。
上式において、Zの上に「・」がついているのは、このインピーダンスZがベクトルであることを示しています。また、Xの手前についている「j」は、この項(X)が虚数であることを示しています。
虚数というのは、普通の数(実数)と位相がπ/2(90°)ほどずれている数のことで、リアクタンスや無効電力は虚数になります。また、このように虚数を含んだ数のことを複素数といいます。つまり、Zは複素数です。
インピーダンスZや皮相電力Sの式を
と表せば、単純に足したり引いたりできないことがわかりやすくなります。
以上を踏まえた上で、複素数の具体的な計算方法について、次のページ以降で解説をしていきます。
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