低圧幹線と低圧分岐回路の違いは、「木の幹」と「木の枝」をイメージすると理解しやすいかもしれません。ちなみにこの場合、屋外にある電線が「木の根元」に相当します。
つまり、屋外から屋内へと繋がる「引込口」から、電線の枝分かれが始まるまでの分岐点が「低圧幹線」です。そして、分岐点から電気機械器具までの電線が、「低圧分岐回路」ということになります。
低圧幹線の施設
低圧幹線は、以下の2つの条件を満たすように施設しなければなりません(本当は「電気設備技術基準の解釈」には6つほど条件が載っていますが、細かいので割愛します)。
- 損傷を受けるおそれがない場所に施設すること。
- 電線の許容電流は、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上であること。ただし、当該低圧幹線に接続する負荷のうち、電動機等の定格電流の合計が、他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は、他の電気使用機械器具の定格電流の合計に次の値を加えた値以上であること。
- 電動機等の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍
- 電動機等の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍
低圧分岐回路の施設
低圧分岐回路には、次のように過電流遮断器と開閉器とを施設しなければいけません。
- 低圧幹線との分岐点から電線の長さが3m以下の箇所に、過電流遮断器を施設すること。ただし、分岐点から過電流遮断器までの電線が、次のいずれかに該当する場合は除く。
- 電線の許容電流が、その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合
- 電線の長さが8m以下で、かつ、上記の過電流遮断器の定格電流の35%以上である場合
- 過電流遮断器は、各極に施設すること。
- 過電流遮断器を施設する場所には、開閉器を各極に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉器の機能を有するものであれば、この限りでない。
低圧分岐回路は、主に以下の条件を満たすように施設する必要があります。
- 上記の過電流遮断器の定格電流は、50A以下であること。
- 電線には軟銅線かMIケーブルを用い、それらの太さが以下の値以上であること。
分岐回路を保護する過電流遮断器の種類 |
軟銅線の太さ |
MIケーブルの太さ |
定格電流が15A以下のもの |
直径1.6mm |
断面積1mm2 |
定格電流が15Aを超え20A以下の配線用遮断器 |
||
定格電流が15Aを超え20A以下のもの(配線用遮断器を除く。) |
直径2mm |
断面積1.5mm2 |
定格電流が20Aを超え30A以下のもの |
直径2.6mm |
断面積2.5mm2 |
定格電流が30Aを超え40A以下のもの |
断面積8mm2 |
断面積6mm2 |
定格電流が40Aを超え50A以下のもの |
断面積14mm2 |
断面積10mm2 |
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