「電気設備に関する技術基準を定める省令」の第五条では、電路の絶縁について定められています。試験の出題テーマとなるのは大きく2つあり、「絶縁抵抗」のことか「絶縁耐力」のことです。この項では絶縁抵抗について解説し、次のページで絶縁耐力について取り上げます。
電路の絶縁
まず、「電気設備技術基準」の第五条では、電路は基本的には大地から絶縁しなければならない、とあります。これをしないと、感電や漏電によって、怪我や火災の原因となってしまうためです。
しかし、「電気設備技術基準の解釈」の13条に例外規定が書かれていて、以下の場合に限って、大地から絶縁しなくてもよい、ということになっています。
- 低圧電路に接地工事を施す場合の二次側接地点
- 電路に接地工事を施す場合の中性点接地点
- 計器用変成器の二次側電路に接地工事を施す場合の接地点
- 低圧架空電線の特別高圧架空電線と同一支持物に施設される部分に接地工事を施す場合の接地点
- 小口径管に接地工事を施す場合の接地点
- 低圧電路と使用電圧が150V以下の低圧電路を結合する変圧器の二次側電路に接地工事を施す場合の接地点
- 試験用変圧器、エックス線発生装置などのうち、絶縁できないことがやむを得ないもの
- 電気浴器、電気炉、電気ボイラー、電解槽など、大地から絶縁することが技術上困難なもの
低圧の電路の絶縁性能
「電気設備技術基準」の第五十八条では、低圧の電路の絶縁性能について定められています。条項の番号はだいぶ飛びますが、内容として近いため、ここで一緒に紹介しておきます。
五十八条では、電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間もしくは電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、以下の値以上でなければならない、と決められています。
電路の使用電圧の区分 |
絶縁抵抗値 |
|
300V以下 |
対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧)が150V以下の場合 |
0.1MΩ |
その他の場合 |
0.2MΩ |
|
300V超 |
0.4MΩ |
一方、「電気設備技術基準の解釈」の14条によると、絶縁抵抗測定が困難で上記のような数字がはっきりわからないときは、漏えい電流計を用いて漏れ電流を測定し、それが1[mA]以下であれば上表の条件を満たすことにできる、とされています。
低圧電線路の絶縁性能
「電気設備技術基準」の第二十二条では、低圧電線路の絶縁性能について定められています。上記の五十八条は「低圧の電路」で、こちらは「低圧電線路」です。文言は似ていますが、意味は少し違います。
二十二条では、低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間もしくは電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2000分の1を超えないようにしなければならない、とされています。
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