ヒートポンプの原理

ヒートポンプは、比較的少ない電気エネルギーを使って、それ以上に大きな熱エネルギーを得ることのできる技術です。本来は、あるエネルギーを別のエネルギーに変換する際は理想的な条件でも100%、普通はロスがあるのでそれ以下のエネルギーにしかなりません。

しかし、ヒートポンプの場合、気化熱や凝縮熱をうまく利用することで空気との熱交換を行うため、空気の持つ熱エネルギーを利用できることから、ヒートポンプの運転に費やす電気エネルギーよりも大きい熱エネルギーが得られます(場合によっては、空気ではなく、海中の水や地中の土の熱エネルギーを使うこともあります)。

これは省エネ技術として、エアコンや冷蔵庫、給湯器などに広く使われています。

この項では、ヒートポンプの仕組みについて解説していきます。下の図を見ながら以下の説明文を読んでください。

上図は、エアコン(冷房時)の動作概念図です。

まずは、図の右下から始めます(循環しているので、特にスタート地点が決まっているわけではありませんが)。今は冷房時の説明なので、室内に入ってくる冷媒は冷たいはずです。

そして、右下からやや上にあがったところで熱交換器があり、ここで室内の温かい空気と冷たい冷媒との間で熱交換を行います。すると、部屋には冷たい空気が流れる一方、冷媒の温度は上がり気化します。

図中で管を流れている冷媒の色が黒いときは冷媒が冷えていて液体の状態になっていて、冷媒の色が灰色の部分は、冷媒が温まっていて気体の状態になっていると考えてください。気化した冷媒は、室壁を経て室外へと進みます。

次に、冷媒は圧縮機で圧縮されて高温になります。そしてそのまま進むと図の左側に室外機の熱交換器がありますが、ここで高温の冷媒が室外の空気との間で熱交換を行います。今度は冷媒が熱く、空気が(高温の冷媒に比べれば)冷たいので、冷媒は外気へ熱を放出しながら液化します。

その後、圧縮されていた冷媒は膨張弁で膨張するので、温度がさらに下がり、冷たい冷媒となって再び室内機に送られます。これで冷媒が図中を1周したことになります。

このように、冷媒を圧縮したり膨張させたりすることで、高温または低温にして、効率の良い熱交換を実現したのが、ヒートポンプという技術です。

また、室外機の四方弁を切り替えることにより冷媒の流れる方向を逆にすれば、冷房ではなく暖房のシステムになります。つまり、圧縮されて高温になった冷媒が室内の熱交換器で室内の空気を温め、その後、膨張弁で低温になった冷媒が室外の熱交換器で外気の空気から熱を受け取ります。

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