比熱を用いた加熱電力の計算

「電熱」の分野の計算問題の多くは、比熱容量を使う問題か、ヒートポンプの成績係数(COP)を使う問題です。このページでは比熱容量の考え方と計算方法を紹介し、成績係数(COP)についてはこちらのページで扱います。

比熱容量とは、ある物質1[kg]の温度を、1[℃]上げるのに必要な熱量のことです。比熱容量は物質ごとにその数字が決まっていて、例えば水なら4.2×103[J/kg・℃]で、鉄なら0.4×103[J/kg・℃]です。

以上のことを式にすると、以下のようになります。

  • Q:熱量 [J]
  • c:比熱容量 [J/kg・℃]
  • m:物質の重量 [kg]
  • θ:上昇温度 [℃]

この式を覚えれば比熱容量については充分ですが、ここからは具体的に計算の仕方を紹介します。

例題

10kgの水を20℃から40℃まで昇温する場合を考えます。このとき、500Wの電熱装置を使うとすると、昇温に掛かる時間はどのくらいでしょうか。ただし、水の比熱容量を4.2×103[J/kg・℃]とします(比熱容量は暗記しなくても、問題文に記載されることが多いです)。

解説

この問題では、まず昇温に必要な熱量を求めます。上で紹介した式を使うと、

となります。

一方、500[W]の電熱装置は1秒間に500[J]の仕事をする(=熱量を与える)ため、この昇温に掛かる時間tは、

となり、答えが28分と出ます。

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