整流装置は交流を直流に変換するもの、インバータは逆に直流を交流に変換するものでしたが、直流チョッパは直流を別の電圧の直流に変換するための装置です。
直流チョッパに使われるパワー半導体デバイスは、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)や各種パワートランジスタのように、自己消弧デバイスのものを使用することが多いです。
直流チョッパをさらに分類すると、出力が電源電圧に比べて低くなる直流降圧チョッパと、出力が電源電圧よりも高くなる直流昇圧チョッパに分かれます。
直流降圧チョッパ
まず最初に、直流降圧チョッパの回路図の一例を見てください。
上図のQはここではIGBTを用いていますが、自己消弧デバイス(オンオフ制御ができるもの)であればよいので、IGBTのほか、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)などが使われることもあります。
この回路において、IGBTのスイッチをオンにすると、電流iTが抵抗側にiRとして流れます。また、IGBTのスイッチをオフにすると電源が回路から切り離されるため、電流iTは流れなくなりますが、その代わり、電流iDが抵抗側にiRとして流れます。
よって、IGBTのスイッチオン・オフを繰り返すことで、出力電圧edと各電流値は次のような波形を描きます。
出力電圧は、この電圧の波形の平均値をとったものになるので、ターンオン・ターンオフの間隔を調整することで、出力電圧を望む数値にまで下げるように調整することができます。それを式で表すと、以下の通りです。
- vd:出力電圧[V]
- Ton:ターンオンの時間[s]
- Toff:ターンオフの時間[s]
- ES:電源電圧[V]
以上が直流降圧チョッパの原理です。
直流昇圧チョッパ
直流昇圧チョッパについても直流降圧チョッパと同様に考えることができますが、まずは回路図の一例を見てください。
この回路において、IGBTのスイッチをオンにすると、電流iEがインダクタンスLに流れ、エネルギーが蓄積されます。その状態でIGBTのスイッチをオフにすると、今度はインダクタンスLに逆起電力が発生し、蓄積されたエネルギーを放出するかたちとなり電流に加算されるため、先ほどよりも大きな電流iD、iRが流れます。
よって、入力の電圧よりも高い電圧が抵抗負荷Rにかかることになります。こちらも直流降圧チョッパと同様、ターンオン・ターンオフの時間の割合を変えることで、昇圧の程度を変動させることができます。それを式で表すと、以下の通りです。
- vd:出力電圧[V]
- Ton:ターンオンの時間[s]
- Toff:ターンオフの時間[s]
- ES:電源電圧[V]
以上が直流昇圧チョッパの原理です。
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