問 題
「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する記述として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 単独運転とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に無効電力を供給している状態をいう。
- 自立運転とは、分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。
- 逆充電とは、分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。
- 受動的方式の単独運転検出装置とは、分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置をいう。
- 能動的方式の単独運転検出装置とは、単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置をいう。
解 説
(1)は誤りです。単独運転は、系統が事故で切り離されたときに、分散型電源が発電はしているものの大きな負荷につながっていない(線路負荷くらいしか行き場がない)状態で、電力の供給と需要が一致せずに感電や機器の損傷の危険度が高い状態です。
ここで、(1)では「線路負荷に無効電力を供給」とありますが、実際には有効電力が供給され続けるせいで、系統電源から切り離したにも関わらず事故を収めることができず、被害が拡大してしまうおそれがあります。よって、(1)の「無効電力」が誤りで、正しくは「有効電力」となります。
(2)は正しいです。自立運転は、分散型電源が連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態を指す言葉です。
(1)の単独運転は上記の通りリスクの高い状態ですが、自立運転のほうは、解列した系統内で発電と消費を行っているという、まさに自立した状態なので特に危険性はありません。
(3)は誤りです。分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れを表す用語は、「逆充電」ではなく「逆潮流」です。
逆充電とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態のことをいいます。
(4)と(5)はともに誤りです。(4)の文中には「変動を与えておき」という積極的な(能動的な)文言が使われていて、その反対に(5)の文章は、勝手にそうなってしまうというニュアンスとなっています。つまり、(4)と(5)は「受動」と「能動」が逆になっていると判断できます。
以上から、正解は(2)となります。
参考のため、「電気設備技術基準の解釈」第220条(分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義)のうち、本問の各選択肢にある用語の定義を以下に記載します。
単独運転:分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態
自立運転:分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態
逆潮流:分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ
逆充電:分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが、連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態
受動的方式の単独運転検出装置:単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
能動的方式の単独運転検出装置:分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
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