問 題
直流送電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 系統連系のための直流送電では、交直変換所の設置が必要となる。
- 交流送電のような同期安定度の問題がないので、長距離送電に適している。
- 直流の高電圧大電流の遮断は、交流の場合より容易である。
- 直流は、変圧器で簡単に昇圧や降圧ができない。
- 交直変換器からは高調波が発生するので、フィルタ設置等の対策が必要である。
正解 (3)
解 説
(3)に関して、直流送電では電流の遮断が難しいです。
交流の場合は周期的に電流がプラスになったりマイナスになったり常に変化しているため、ちょうど0になるところを狙って遮断することで、あまり負荷を掛けずに遮断することが可能です。
しかし、直流の場合は常に一定の電流が流れ続けているので、高電圧大電流の状態で遮断するのは負荷が大きすぎて難しくなります。
よって、(3)が誤りの記述なので、これが正解となります。
この問題は、同様の出題がたまにあるので、正解の選択肢以外の内容についても確認しておく必要があります。選択肢にない内容も含めて、直流送電の代表的なメリットとデメリットを以下にまとめておくので、併せて押さえておいてください。
メリット
- 絶縁が容易(実効電圧が一緒なら、交流よりも直流のほうが最高電圧が低いため)
- 電圧降下や線路損失が小さい(直流には無効電力がないため、リアクタンスによる電圧降下がない)
- フェランチ効果が起こらない(無効電力がないために静電容量による電圧上昇、つまりフェランチ効果が起こらない)
- 異周波数の連系や非同期連系が簡単(直流だと同期運転がいらないため)
- 充電電流が生じない(これが問題になる海底ケーブル送電などで有利)
- ケーブルが安い(長距離の送電であれば、交直交換設備を設置してもトータルで安上がりになる)
デメリット
- 変圧が容易にはできない(昇圧や降圧は交流のほうが向いている)
- 交直交換設備の設置が必要(この設備は費用が高い)
- 電流の遮断が難しい(一方、交流は周期的に電流が0になるので、そこで遮断しやすい)

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