電験三種 R5年度下期 電力 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、送電線路における架空地線に関する記述である。

送電線路の鉄塔の上部に十分な強さをもった( ア )を張り、鉄塔を通じて接地したものを架空地線といい、送電線への直撃雷を防止するために設置される。

図において、架空地線と送電線とを結ぶ直線と、架空地線から下ろした鉛直線との間の角度を( イ )と呼んでいる。この角度が( ウ )ほど直撃雷を防止する効果が大きい。

架空地線や鉄塔に直撃雷があった場合、鉄塔から送電線に( エ )を生じることがある。これを防止するために、鉄塔の接地抵抗を小さくするような対策が講じられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)    (イ)    (ウ)     (エ)
  1. 裸線    遮へい角  小さい  逆フラッシオーバ
  2. 絶縁電線  遮へい角  大きい  進行波
  3. 裸線    進入角   小さい  進行波
  4. 絶縁電線  進入角   大きい  進行波
  5. 裸線    進入角   大きい  逆フラッシオーバ

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

架空地線は、送電線路を雷から保護するために鉄塔の上部に張られる線です。この線は送電線を直撃雷から防ぐ役割を果たします。

( ア )に関して、架空地線には「裸線」が用いられます。雷の電流を地面に導くことで送電線への直撃雷を防ぐことで、送電線の損傷を防ぎ、安定した電力供給を維持するのが目的です。一方、「絶縁電線」だと電流を導くことができないので、これは不適です。

よって、( ア )には「裸線」が入ります。

( イ )と( ウ )に関して、架空地線と送電線とを結ぶ直線と、架空地線から下ろした鉛直線との間の角度(問題の図のθ)を「遮へい角」といいます。この遮へい角が「小さい」ほど、雷撃防止の効果が大きくなります。

イメージとしては、遮へい角が小さいほど空から見て架空地線が尖って突出しているように映るので、ここに落雷しやすくなります。一方、遮へい角が大きいと架空地線が送電線と同様に横向きに延びる感じになるので、空から見て架空地線と送電線の区別が付きにくくなるため、雷撃防止の効果が弱くなります。

よって、( イ )には「遮へい角」が、( ウ )には「小さい」が入ります。

( エ )に関して、架空地線または鉄塔に直撃雷があると、鉄塔から送電線へ「逆フラッシオーバ」が起こることがあります。

逆フラッシオーバとは、架空地線や鉄塔に雷撃があった際に接地抵抗が高いと、架空地線や鉄塔の電圧が上がって送電線に対して放電してしまうことをいいます。よって、鉄塔の接地抵抗を小さくすれば逆フラッシオーバが起こりにくくなります。

よって、( エ )には「逆フラッシオーバ」が入ります。

以上から、

  • ア:裸線
  • イ:遮へい角
  • ウ:小さい
  • エ:逆フラッシオーバ

となるので、正解は(1)です。

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