電験三種 R5年度上期 法規 問2 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気関係報告規則」に基づく事故の定義及び事故報告に関する記述である。

a) 「電気火災事故」とは、漏電、短絡、( ア )、その他の電気的要因により建造物、車両その他の工作物(電気工作物を除く。)、山林等に火災が発生することをいう。

b) 「破損事故」とは、電気工作物の変形、損傷若しくは破壊、火災又は絶縁劣化若しくは絶縁破壊が原因で、当該電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、( イ )、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること又はその使用が不可能となり、若しくはその使用を中止することをいう。

c) 「供給支障事故」とは、破損事故又は電気工作物の誤( ウ )若しくは電気工作物を( ウ )しないことにより電気の使用者(当該電気工作物を管理する者を除く。)に対し、電気の供給が停止し、又は電気の使用を緊急に制限することをいう。ただし、電路が自動的に再閉路されることにより電気の供給の停止が終了した場合を除く。

d) 感電により人が病院( エ )した場合は事故報告をしなければならない。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • (ア)     (イ)    (ウ)   (エ)
  1. せん絡   直ちに    停止  で治療
  2. 絶縁低下  制御できず  操作  に入院
  3. せん絡   制御できず  停止  で治療
  4. せん絡   直ちに    操作  に入院
  5. 絶縁低下  制御できず  停止  で治療

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

本問は、問題文の冒頭に書かれている通り、電気関係報告規則に基づく事故の定義と事故報告に関する出題です。

事故報告というのは、電気工作物に事故があった際、事故の種類や程度に応じて経済産業大臣または産業保安監督部長に報告することです。つまり、ちょっとした故障や怪我が生じた程度ではここでいう「事故」には該当せず、大きめのトラブルが起こった際の話となります。

a)は電気火災事故に関する文章です。

( ア )の選択肢には「せん絡」と「絶縁低下」があります。せん絡(閃絡)とは、絶縁破壊によってアークが生じることで、これにより電気火災につながることもあります。一方で、絶縁低下のほうはまだ絶縁破壊には至っておらず、この段階では火災の発生リスクは高くありません。

よって、( ア )には「せん絡」が入ると判断できます。

b)は破損事故に関する文章です。

( イ )の選択肢には「直ちに」と「制御できず」がありますが、どちらでも意味が通るので判断が難しいかもしれません。その場合は、一旦( イ )をスルーして、あとで選択肢から考え直してもいいと思います。

正しい答えを示すと、( イ )には「直ちに」が入ります。

ゆっくり運転を停止できる場合には、電気工作物や周辺への影響を考えながら対応に当たることができるため、重大な事故という扱いにはならず、事故報告の対象とはなりません。直ちに運転を停止することになった場合に限り、事故報告が必要です。

c)は供給支障事故に関する文章です。

この文章では、電気の供給に支障が出る原因を、設備的要因である「破損事故」と、人的要因である「誤( ウ )する/( ウ )しない」と表現しています。

ここで、( ウ )の選択肢には「停止」と「操作」がありますが、人的要因は「誤停止する/停止しない」ことだけとは限らず、「誤操作する/操作しない」ことによっても事故は発生します。もちろん、「操作」という言葉の中には「停止」も含まれます。

よって、( ウ )には「操作」を入れるのが適切であると判断できます。

d)は人身事故に関する文章です。

人身事故の事故報告は、人が死亡したり入院したりした場合に報告するよう定められています。電気に関する事故の規模は大小様々ありますが、比較的軽い怪我なども報告対象に入れているときりがないので、入院以上の事例に限定されます。

よって、( エ )には「に入院」が入ります。

以上から、

  1. せん絡
  2. 直ちに
  3. 操作
  4. に入院

となるので、正解は(4)です。

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