電験三種 R5年度上期 機械 問2 問題と解説

 問 題     

界磁に永久磁石を用いた小形直流電動機があり、電源電圧は定格の12V、回転を始める前の静止状態における始動電流は4A、定格回転数における定格電流は1Aである。定格運転時の効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとし、損失は電機子巻線による銅損しか存在しないものとする。

  1. 60
  2. 65
  3. 70
  4. 75
  5. 80

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

直流電動機の等価回路は以下のように描くことができます。

  • E:逆起電力[V]
  • V:電源電圧[V]
  • I:電流[A]
  • Ra:電機子巻線抵抗[Ω]

上図より、以下の等式が成り立ちます。

また、永久磁石を用いた直流電動機の部分(左側の緑点線)に生じる逆起電力Eに関して、これは電動機の始動直後には0[V]であり、定格回転数に近づくにつれ大きくなり、定格運転時には一定の値を取ります。

よって、始動時直後の値を上式に代入すれば、電機子巻線抵抗Raを求めることができます。

始動時の条件からRaがわかり、Raは始動時でも定格運転時でも変わらないため、今度は定格運転時の値を同じ式に代入することで、定格運転時の逆起電力Eが求められます。

以上から、定格運転時のV、E、Iがわかったので、入力電力をPin、出力電力をPoutとすると、その効率ηは以下のように計算することができます。

よって、正解は(4)となります。

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