電験三種 R5年度上期 電力 問15 問題と解説

 問 題     

石炭火力発電所が1日を通して定格出力600MWで運転されるとき、燃料として使用される石炭消費量が150t/h、石炭発熱量が34300kJ/kgで一定の場合、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、石炭の化学成分は重量比で炭素が70%、水素が5%、残りの灰分等は燃焼に影響しないものと仮定し、原子量は炭素12、酸素16、水素1とする。燃焼反応は次のとおりである。

(a) 発電端効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 41.0
  2. 41.5
  3. 42.0
  4. 42.5
  5. 43.0

(b) 1日に発生する二酸化炭素の重量の値[t]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 3.8×102
  2. 2.5×103
  3. 3.8×103
  4. 9.2×103
  5. 1.3×104

 

 

 

 

 

正解 (a)-(3), (b)-(4)

 解 説    

(a)

設問(a)で問われているのは発電端効率なので、一定時間における入力と出力のエネルギー(発熱量・電力量)を求め、その比を計算することになります。一定時間というのは、入力と出力で揃っていれば1時間でも1日でも構いません。

まずは入力の発熱量について考えます。問題文より、石炭の消費量が150[t/h](=150×103[kg/h])、石炭発熱量が34300[kJ/kg]なので、1時間あたりの発熱量は次の(1)式のように計算できます。

次に、出力の発電量について考えます。ここで、入力の発熱量は(1)式の通り1時間あたりのエネルギーを計算したので、出力の電力量も1時間分の値を計算します。定格出力は1日を通して600[MW](=[MJ/s])なので、1時間分の出力は次の(2)式のように表されます。

以上の(1)式、(2)式より、発電端効率は次のように算出することができます。ただし、(1)式と(2)式はこのままでは単位が少し違うので、比の計算をする際には[kJ/h]または[MJ/h]のどちらかに揃えることを忘れないようにしてください。

よって、正解は(3)となります。

(b)

石炭消費量は150[t/h]であるため、1日の消費量は次の(4)式のようになります。

また、石炭全体のうち炭素の割合は70%であるので、1日の炭素の消費量は次の(5)式で表されます。

ここで、求めたいのは二酸化炭素の重量ですが、問題文で与えられている燃焼反応の式と原子量から、原子量12の炭素Cが分子量44(=12+16×2)の二酸化炭素CO2に変わることがわかります。

そのため、(5)式で求めた2520[t]の炭素は、燃焼によって以下の(6)式の重量の二酸化炭素へと変わります。

以上から、正解は(4)となります。

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