電験三種 R5年度上期 電力 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は、変電所の計器用変成器に関する記述である。

計器用変成器は、( ア )と変流器とに分けられ、高電圧あるいは大電流の回路から計器や( イ )に必要な適切な電圧や電流を取り出すために設置される。

変流器の二次端子には、常に( ウ )インピーダンスの負荷を接続しておく必要がある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に( エ )に接続する。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)      (イ)    (ウ)   (エ)
  1. 主変圧器    避雷器    高  縦続
  2. CT        保護継電器  低  直列
  3. 計器用変圧器  遮断器    中  並列
  4. CT        遮断器    高  縦続
  5. 計器用変圧器  保護継電器  低  直列

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

( ア )で、計器用変成器には、計器用変圧器(VT:Voltage Transformer)と変流器(CT:Current Transformer)があります。

高電圧または大電流をそのまま測定するのは難しいので、計器用変成器を使うことで小さな値に変換することで、普通の電圧計または電流計で測定できるようにします。

よって、( ア )には「計器用変圧器」が入ります。

( イ )で、計器用変成器(VTやCT)で異常を感知した際には、遮断器で周囲との電気的なつながりを断ち、事故の影響を最小限に抑える必要があります。このようにVTやCTの異常を認識し、遮断器を作動させるための装置を保護継電器といいます。

よって、( イ )には「保護継電器」が入ります。

( ウ )に関して、変流器(CT)は、通電中に二次側が開放されると変流器に異常電圧が発生し、絶縁が破壊される危険性があります。そこで、開放防止のために、変流器の二次端子には常に低インピーダンスの負荷を接続しておきます。

あくまで開放防止が目的であり、高電圧を掛けたいわけではない(むしろ掛けたくない)ので、インピーダンスは低いものを選びます。

また、少し脱線しますが、計器用変圧器(VT)の場合でも似たような措置が必要です。CT・VTの違いを以下にまとめますので、確認しておいてください。

  • 変流器(CT):二次側を開放すると計器に高電圧が掛かるため、開放防止を目的として二次端子に低インピーダンスの負荷を接続します。
  • 計器用変圧器(VT):二次側を短絡すると計器に大電流が流れるため、短絡防止を目的として二次端子に高インピーダンスの負荷を接続します。

よって、( ウ )には「低」が入ります。

( エ )で、変流器は電流を測定するためのものなので、被測定線路に対して直列接続とします。分岐するようなつなぎ方では、電流が分散されて正しい測定が行なえません。

よって、( エ )には「直列」が入ります。

以上から、

  1. 計器用変圧器
  2. 保護継電器
  3. 直列

となるので、正解は(5)です。

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