電験三種 R5年度上期 理論 問7 問題と解説

 問 題     

図の回路において、スイッチSを閉じ、直流電源から金属製の抵抗に電流を流したとき、発熱により抵抗の温度が120℃になった。スイッチSを閉じた直後に回路を流れる電流に比べ、抵抗の温度が120℃になったときに回路を流れる電流は、どのように変化するか。

最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、スイッチSを閉じた直後の抵抗の温度は20℃とし、抵抗の温度係数は一定で0.005℃-1とする。また、直流電源の起電力の大きさは温度によらず一定とし、直流電源の内部抵抗は無視できるものとする。

  1. 変化しない
  2. 50%増加
  3. 33%減少
  4. 50%減少
  5. 33%増加

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

まず、抵抗の特徴として、温度が高いほど抵抗値は上がり(電流を流しにくくなり)、温度が低いほど抵抗値は下がり(電流を流しやすくなり)ます。

たとえば本問の条件の場合、基準となる抵抗の温度が20℃で、抵抗の温度係数が0.005[℃-1]なので、温度が21℃になると、抵抗値は元の1.005倍となります。また、温度が19℃になると、抵抗値は元の0.995倍となります。

これを一般論にすると、基準温度t0[℃]における抵抗値がR[Ω]で、抵抗温度係数がα[℃-1]の抵抗器があったとき、ある温度t[℃]における抵抗値Rt[Ω]は次のように表されます。

   

(1)式の意味合いとして、( )内は基準温度から変化した分の温度差を表しています。それに抵抗温度係数を掛けることで増加率(または減少率)を示します。そして基準となる1を足したのちにRを掛けることで、任意の温度における抵抗値を求めることができます。

以上から、今回はα=0.005、t=120、t0=20なので、これを(1)式に代入すると、次の(2)式のようになります。

よって、20℃から120℃に変化したとき、抵抗値は元の1.5倍になることがわかります。問題文より電源電圧は温度によらず一定であるため、オームの法則「V=IR」より、抵抗値が1.5倍になれば電流値は1/1.5倍になるといえます。

  • I、R:20℃のときの電流値、抵抗値
  • It、Rt:120℃のときの電流値、抵抗値

以上から、電流は元の67%にまで減っていることがわかるので、33%減少したことになります。よって、正解は(3)です。

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