電験三種 R5年度上期 理論 問3 問題と解説

 問 題     

磁気回路における磁気抵抗に関する次の記述のうち、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 磁気抵抗は、次の式で表される。磁気抵抗=起磁力/磁束
  2. 磁気抵抗は、磁路の断面積に比例する。
  3. 磁気抵抗は、比透磁率に反比例する。
  4. 磁気抵抗は、磁路の長さに比例する。
  5. 磁気抵抗の単位は、[H-1]である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

磁気抵抗Rmは磁束の通りにくさを表すパラメータで、以下の式で表されます。

  • Rm:磁気抵抗 [H-1]=[A/Wb]
  • N:コイルの巻き数
  • I:電流 [A]
  • NI:起磁力 [A]
  • Φ:磁束 [Wb]

上式からもわかる通り、これは電気回路における「(電気抵抗)=(起電力)/(電流)」の式に似ています。電気回路における電気抵抗が磁気回路では磁気抵抗に対応し、同様に、起電力は起磁力、電流は磁束に対応します。

よって、(1)と(5)はともに正しいです。

また、磁気抵抗Rmは、別の表し方をすると以下のように書くこともできます。

  • Rm:磁気抵抗 [H-1]=[A/Wb]
  • l:磁路の長さ [m]
  • μ:鉄心の透磁率 [H/m]
  • A:鉄心の断面積 [m2]

上式の通り、磁気抵抗Rmは磁路の長さlが長いほど大きくなり、鉄心の断面積Aが大きければ磁気抵抗は小さくなります。これは、電気抵抗Rで言うところの導体の長さと導体の断面積に対応しています。

また、電気抵抗では導電率の値も影響してきますが、これは磁気抵抗においては磁束の通しやすさを表す透磁率μ(または比透磁率μr:真空の透磁率に対する透磁率の比)に対応します。磁束が通りやすければ磁気抵抗は小さくなるので、Rmとμ(μr)とは反比例の関係となります。

よって、(3)と(4)はともに正しい一方で、(2)の「比例」が誤っていることがわかります。ここを「反比例」に直せば正しい文章となります。

以上から、正解は(2)です。

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