電験三種 R4年度下期 法規 問8 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関する記述である。

a) 逆変換装置を用いて分散型電源を電力系統に連系する場合は、逆変換装置から直流が電力系統へ流出することを防止するために、受電点と逆変換装置との間に変圧器(単巻変圧器を除く)を施設すること。ただし、次の1.及び2.に適合する場合は、この限りでない。

  1. 逆変換装置の交流出力側で直流を検出し、かつ、直流検出時に交流出力を( ア )する機能を有すること。
  2. 次のいずれかに適合すること。
    • 逆変換装置の直流側電路が( イ )であること。
    • 逆変換装置に( ウ )を用いていること。

b) 分散型電源の連系により、一般送配電事業者が運用する電力系統の短絡容量が、当該分散型電源設置者以外の者が設置する遮断器の遮断容量又は電線の瞬時許容電流等を上回るおそれがあるときは、分散型電源設置者において、限流リアクトルその他の短絡電流を制限する装置を施設すること。ただし、( エ )の電力系統に逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合は、この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • (ア)     (イ)       (ウ)     (エ)
  1. 停止  中性点接地式電路  高周波変圧器   低圧
  2. 抑制  中性点接地式電路  高周波チョッパ  高圧
  3. 停止  非接地式電路    高周波変圧器   高圧
  4. 停止  非接地式電路    高周波変圧器   低圧
  5. 抑制  非接地式電路    高周波チョッパ  低圧

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

問題文のa)に該当するのは「電気設備技術基準の解釈」第221条(直流流出防止変圧器の施設)、b)に該当するのは第222条(限流リアクトル等の施設)です。

( ア )で、逆変換装置から直流が電力系統へ流出することを防止するためには、直流検出時に交流出力を停止する機能が必要です。交流出力を抑制するだけでは、直流が電力系統に影響を与える可能性があります。

よって、( ア )には「停止」が入ります。

( イ )で、逆変換装置の直流側電路が中性点接地式電路である場合は、変圧器を施設することが必要です。これは、中性点接地式電路では、直流成分が電力系統の中性点に流出することがあり、電力系統の保護装置や計測装置に影響を与える可能性があるためです。

一方で、非接地式電路では直流成分が電力系統に流出する心配はないため、変圧器を施設する必要はありません。

よって、( イ )には「非接地式電路」が入ります。

( ウ )で、逆変換装置に高周波変圧器を用いる場合は、この高周波変圧器が直流を遮断する作用を持つため、別途変圧器を施設する必要はありません。一方で、高周波チョッパは直流を交流に変換する装置であり変圧器ではないため、こちらの場合は変圧器が必要となります。

よって、( ウ )には「高周波変圧器」が入ります。

( エ )で、分散型電源の連系による短絡電流の制限は、高圧電力系統において重要な課題です。高圧電力系統では、分散型電源の連系により短絡容量が大きく増加し、遮断器の遮断容量や電線の瞬時許容電流等を超える短絡電流が発生するおそれがあります。

そうならないように、分散型電源設置者において、限流リアクトルなどの短絡電流を制限する装置を施設することが定められています。

一方で、低圧電力系統では、分散型電源の連系による短絡容量の増加は、高圧電力系統ほど顕著ではありません。そのため、低圧電力系統では短絡電流の制限は必要ありません。

よって、( エ )には「低圧」が入ります。

以上から、( ア )は「停止」、( イ )は「非接地式電路」、( ウ )は「高周波変圧器」、( エ )は「低圧」となるので、正解は(4)です。

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