問 題
次の文章は、電気通信に関する記述である。
電気通信において、信号に変換された情報を伝える媒体を伝送路と呼ぶ。伝送路などから混入し、送りたい信号を変化させてしまうことがある不要な成分を( ア )という。
身近な通信手段の一つとして電話がある。地域間をまたがる電話網において多数の通話を効率的に中継するために、1本の伝送路を用いて同時に多数の通話を伝送する技術を( イ )という。
無線通信では、送りたい情報を信号波と呼ばれる電気信号に変換した後、送信機によって、周波数のより高い搬送波と呼ばれる信号と合成し、( ウ )を作る。( ウ )を作り出したり、受信機において( ウ )から信号波を取り出す方式はいくつかある。
アナログ信号をディジタル信号に変換するA-D変換においては、アナログ信号の最高周波数に対して、その2倍以上の周波数で( エ )を行えば、( エ )された信号から元のアナログ信号を再現できる。これを( エ )定理という。
画像や音声、ビデオなどの情報をそのまま記録・伝送しようとすると、データのサイズが大きくなるために、データの( オ )が行われる。静止画像の代表的な( オ )方法としてJPEGという国際標準規格がある。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
- 雑音(ノイズ) 輻輳 正弦波 標本化 圧縮
- 側波帯 多重化 変調波 標本化 伸長
- 雑音(ノイズ) 多重化 変調波 標本化 圧縮
- 雑音(ノイズ) 多重化 変調波 量子化 伸長
- 側波帯 輻輳 正弦波 量子化 圧縮
解 説
( ア )について、ここでは意図せず混入してしまう邪魔な成分のことを指しているので、これは「雑音(ノイズ)」のことであると判断できます。
( イ )について、1本の伝送路を用いて同時に多数の通話を伝送する技術は「多重化」といいます。
なお、選択肢にある「輻輳(ふくそう)」とは、物が一か所に集中し混雑する様を表す言葉です。電気通信の分野でいえば、電話やインターネットなどの回線を多数の利用者が同じ時間帯に集中することにより、サービス提供側の負荷が限界を超えて処理しきれなくなり、不具合が生じることを指します。
( ウ )を含む文章には「信号波」と「搬送波」という用語が出てくるので、まずはこれらの用語の意味について確認しておきます。信号波とは、音声などの情報をデータ化したものを指す言葉です。搬送波とは、信号波を電波として遠くに送信するために必要なデータのことを指す言葉です。
ここで、信号波は「正弦波」であり、これを電波として遠くに送信するため搬送波と合成したものが「変調波」です。よって、( ウ )は合成したあとのものが入るので、( ウ )は「変調波」となります。
( エ )は「2倍以上の周波数」と「( エ )定理」というのがヒントになっていて、これは標本化定理に関する記述です。標本化定理とは、アナログ量を忠実に再現したい場合、そのアナログ量の最大周波数の2倍よりも高い周波数で標本化する必要があるという定理のことです。
一方の「量子化」とは、連続的な値を何段階かの値で近似することです。ディジタルは量子数(不連続な値)でしか扱えないので、アナログをディジタルに変換する際は、連続的なアナログ値を最も近いディジタルの値に近似しています。
( オ )について、これはデータのサイズを小さくするという話なので、「圧縮」を入れるのが正しいです。「伸長」は、圧縮されたデータをもとの状態に戻すことをいいます。
以上から、( ア )には「雑音(ノイズ)」、( イ )には「多重化」、( ウ )には「変調波」、( エ )には「標本化」、( オ )には「圧縮」が入るので、正解は(3)となります。
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