電験三種 R4年度下期 機械 問10 問題と解説

 問 題     

図に示す出力電圧波形vRを得ることができる電力変換回路として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、回路中の交流電源は正弦波交流電圧源とする。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

選択肢を見ると、(1)と(4)ではダイオードを使い、(2)と(3)と(5)ではサイリスタを用いています。

一方で問題の図を見ると、波形はきれいなサインカーブではなく、いびつな形(制御遅れ角を持つ波形)であることがわかります。これはサイリスタを使っている特徴なので、この時点で(1)と(4)は不適であると判断できます。

また、(2)にはサイリスタが一つしかありませんが、これだと回路を流れる電流は必ず時計回りとなり、反時計回りに流れようとする電流は全てサイリスタによって遮られます。よって、(2)の場合だと問題の図のように負の電圧波形が見られないはずなので、(2)も不適であると判断できます。

よって、正解は(3)または(5)の二択ということになります。

(3)について、まず最初の状態(ωt=0)ではサイリスタはオフしています。これがωt=α(αはサイリスタの制御遅れ角)に達すると、ターンオンして時計回りに電流が流れ始め、上側のサイリスタを通って負荷に電圧vRが掛かってきます。

その後、ωt=πになると電源電圧が負になるのでサイリスタに逆電圧が掛かってターンオフするため、回路には再び電流が流れなくなります。

しかし、ωt=π+αになると、再びターンオンして今度は反時計回りに電流が流れ、下側のサイリスタを通って負荷に逆向きの電圧vRが掛かります。

以上を波形で表すと、下図のように描くことができます。

(5)について、まず最初の状態(ωt=0)ではサイリスタはオフしています。これがωt=α(αはサイリスタの制御遅れ角)に達すると、ターンオンして下図赤色の線のように電流が流れ、負荷に電圧vRが掛かってきます。

その後、ωt=πになると電源電圧が負になるのでターンオフしますが、ωt=π+αで再びターンオンすると、今度は下図青色の線のように電流が流れ、負荷に電圧vRが掛かってきます。

赤色の線でも青色の線でも、負荷を流れる電流の向きは同じ(上から下へ)なので、電圧波形は常に正(vR>0)となります。よって、これを波形で表すと、下図のように描くことができます。

以上から、正解は(3)となります。

サイリスタの整流回路についてもう少し詳しく理解しておきたい場合は、整流装置(単相半波整流回路)のページと整流装置(単相全波整流回路)のページを参照してください。

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