電験三種 R4年度下期 機械 問7 問題と解説

 問 題     

次の文章は、交流機における電機子巻線法に関する記述である。

電機子巻線法には、1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する( ア )と、集中巻がある。( ア )の場合、各極各相のスロット数は( イ )となる。

( ア )において、コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法を( ウ )と呼ぶ。この巻線法を採用すると、( エ )は低くなるが、コイル端を短くできることや、( オ )が改善できるなどの利点があるため、一般的によく用いられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • (ア)   (イ)   (ウ)    (エ)     (オ)
  1. 分布巻  2以上  短節巻  誘導起電力  電圧波形
  2. 分散巻  2未満  全節巻  励磁電流   力率
  3. 分布巻  2未満  短節巻  励磁電流   力率
  4. 分布巻  2未満  短節巻  励磁電流   電圧波形
  5. 分散巻  2以上  全節巻  誘導起電力  力率

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )で、電機子巻線法のうち、1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置するものを「分布巻」といいます。これに対して、1相のコイルを一つのスロットに配置するものが「集中巻」となります。よって、( ア )には「分布巻」が入ります。

( イ )は、( ア )が答えられなくても文章から判断できます。( イ )では( ア )のスロット数が問われていますが、( ア )は「いくつかのスロットに分けて配置する」と明記されているため、スロット数は当然複数あるはずです。よって、( イ )には「2以上」を入れるのが適切です。

また、そもそも日本語の問題として、「スロット数が2未満」という言い回しはおかしいです。スロット数は自然数(正の整数)なので、もしこちらが正解なら、「スロット数が1」という書き方のほうが自然になります。このことからも、( イ )を「2未満」とするのは誤りだと判断できます。

( ウ )で、コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法は「短節巻」となります。一方、コイルピッチを極ピッチと等しくしたものが「全節巻」です。よって、( ウ )には「短節巻」が入ります。

( エ )で、短節巻の場合はコイルピッチが短くなる分、コイルに誘導される磁束が減少し、誘導起電力は低くなります。この点は一般的にデメリットとなります。よって、( エ )には「誘導起電力」が入ります。

( オ )で、短節巻では、コイルの起電力の波形が正弦波に近づくため、高調波成分が減少します。これにより、電力品質が上がるとともに、発熱や騒音も減ります。よって、( オ )には「電圧波形」を入れるのが適切だとわかります。

以上から、( ア )は「分布巻」、( イ )は「2以上」、( ウ )は「短節巻」、( エ )は「誘導起電力」、( オ )は「電圧波形」となるので、正解は(1)となります。

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