問 題
次の文章は、交流機における電機子巻線法に関する記述である。
電機子巻線法には、1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する( ア )と、集中巻がある。( ア )の場合、各極各相のスロット数は( イ )となる。
( ア )において、コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法を( ウ )と呼ぶ。この巻線法を採用すると、( エ )は低くなるが、コイル端を短くできることや、( オ )が改善できるなどの利点があるため、一般的によく用いられている。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
- 分布巻 2以上 短節巻 誘導起電力 電圧波形
- 分散巻 2未満 全節巻 励磁電流 力率
- 分布巻 2未満 短節巻 励磁電流 力率
- 分布巻 2未満 短節巻 励磁電流 電圧波形
- 分散巻 2以上 全節巻 誘導起電力 力率
解 説
( ア )で、電機子巻線法のうち、1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置するものを「分布巻」といいます。これに対して、1相のコイルを一つのスロットに配置するものが「集中巻」となります。よって、( ア )には「分布巻」が入ります。
( イ )は、( ア )が答えられなくても文章から判断できます。( イ )では( ア )のスロット数が問われていますが、( ア )は「いくつかのスロットに分けて配置する」と明記されているため、スロット数は当然複数あるはずです。よって、( イ )には「2以上」を入れるのが適切です。
また、そもそも日本語の問題として、「スロット数が2未満」という言い回しはおかしいです。スロット数は自然数(正の整数)なので、もしこちらが正解なら、「スロット数が1」という書き方のほうが自然になります。このことからも、( イ )を「2未満」とするのは誤りだと判断できます。
( ウ )で、コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法は「短節巻」となります。一方、コイルピッチを極ピッチと等しくしたものが「全節巻」です。よって、( ウ )には「短節巻」が入ります。
( エ )で、短節巻の場合はコイルピッチが短くなる分、コイルに誘導される磁束が減少し、誘導起電力は低くなります。この点は一般的にデメリットとなります。よって、( エ )には「誘導起電力」が入ります。
( オ )で、短節巻では、コイルの起電力の波形が正弦波に近づくため、高調波成分が減少します。これにより、電力品質が上がるとともに、発熱や騒音も減ります。よって、( オ )には「電圧波形」を入れるのが適切だとわかります。
以上から、( ア )は「分布巻」、( イ )は「2以上」、( ウ )は「短節巻」、( エ )は「誘導起電力」、( オ )は「電圧波形」となるので、正解は(1)となります。
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