問 題
復水器での冷却に海水を使用する汽力発電所が出力600MWで運転しており、復水器冷却水量が24m3/s、冷却水の温度上昇が7℃であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、海水の比熱を4.02kJ/(kg・K)、密度を1.02×103kg/m3、発電機効率を98%とする。
(a) 復水器で海水へ放出される熱量の値[kJ/s]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 4.25×104
- 1.71×105
- 6.62×105
- 6.89×105
- 8.61×105
(b) タービン室効率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、条件を示していない損失は無視できるものとする。
- 41.5
- 46.5
- 47.0
- 47.5
- 48.0
解 説
(a)
復水器で海水へ放出される熱量の値Q[kJ/s]は、次の式で求められます。これは公式として押さえておきたいところですが、仮に覚えていなくても、単位に注目すればわかりやすいと思います。
なお、下式の比熱の単位に出てくる[K](ケルビン)は[℃]に置き換えられる点がポイントです。Kは絶対温度、℃は摂氏として使われますが、「温度差」として用いる限りは両者を区別する必要はありません。
- Q:熱量 [kJ/s]
- c:比熱 [kJ/kg・K]
- m:質量流量 [kg/s]
- Δθ:上昇温度 [K]
ここで、mは復水器冷却水の質量流量[kg/s]ですが、これは以下に示すように密度[kg/m3]と流量[m3/s]との積で求めることができます。
- ρ:密度 [kg/m3]
- V:流量 [m3/s]
(2)式を(1)式に代入し、問題文で与えられた各数値を代入して次のように計算を進めると、求めたいQの値を算出することができます。
よって、正解は選択肢(4)となります。
(b)
問題文と設問(a)の計算結果からわかっていることをまとめると、下図のように表すことができます。
- η:(タービン室または発電機の)効率 [%]
- P:(タービン室または発電機の)出力 [MW]
上図より、発電機出力P発=600[MW]であり、発電機効率η発=98[%]なので、タービン室出力Pタは次のように計算できます。
よって、上図のタービン室に注目すると、(3)式よりQの値はわかっていて、(4)式よりPタもわかりました。そのため、以下の比の計算によって、タービン室効率ηタを算出することができます。
なお、設問(a)で求めたQの単位は[kJ/s]でしたが、[J/s]=[W]なので、[kJ/s]=[kW]となります。さらに、Pタの単位[MW]と合わせるため、Q=6.89×105[kW]=6.89×102[MW]=689[MW]としてから比の計算を行います。
以上から、正解は(3)となります。
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