電験三種 R4年度下期 電力 問5 問題と解説

 問 題     

各種発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 太陽光発電は、太陽電池によって直流の電力を発生させる。需要地点で発電が可能、発生電力の変動が大きい、などの特徴がある。
  2. 地熱発電は、地下から取り出した蒸気又は熱水の気化で発生させた蒸気によってタービンを回転させる発電方式である。発電に適した地熱資源を見つけるために、適地調査に多額の費用と長い期間がかかる。
  3. バイオマス発電は、植物などの有機物から得られる燃料を利用した発電方式である。さとうきびから得られるエタノールや、家畜の糞から得られるメタンガスなどが燃料として用いられている。
  4. 風力発電は、風のエネルギーによって風車で発電機を駆動し発電を行う。プロペラ型風車は羽根の角度により回転速度の制御が可能である。設定値を超える強風時には羽根の面を風向きに平行になるように制御し、ブレーキ装置によって風車を停止させる。
  5. 燃料電池発電は、水素と酸素との化学反応を利用して直流の電力を発生させる。発電に伴って発生する熱を給湯などに利用できるが、発電時の振動や騒音が大きい。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)は正しいです。太陽光発電や風力発電で得られる電力は直流電力なので、このままでは交流の電力系統へ送電することはできません。その前に電力変換装置を用いて直流を交流に変える必要があります。

また、太陽光発電は一般家庭でも設置できるほど設備がコンパクトなので、需要地点での発電が可能です。そして、発生電力が一定せず、天気や時間帯によって大きく変動するのも特徴的です。

(2)も正しいです。地熱発電は、地下から取り出した蒸気または熱水の気化で発生させた蒸気によってタービンを回して発電する方式です。

発電に適した地熱資源は火山地域に多く存在しますが、実際に発電設備を整えるためには大掛かりな工事や調整が必要であり、安定した発電が行えなかったときの損害が大きいです。そのため、適地調査には多額の費用と時間を掛け、慎重に選定する必要があります。

(3)も正しいです。バイオマス発電は、植物や動物が生成・排出する有機物から得られる燃料を利用する発電方式です。燃料の代表的なものには、さとうきびから得られるエタノールや、家畜の糞から得られるメタンガス、木くずから作られる固形化燃料などがあります。

(4)も正しいです。風力発電は、風のエネルギーによって風車で発電機を駆動し発電を行います。風車は回転軸の方向により水平軸風車と垂直軸風車に分けられ、大電力用には主に水平軸風車が用いられます。

また、風が強すぎるとブレード(羽根)に負荷が掛かって折れたり、回転数が大きすぎると機器の摩耗・劣化が早くなったりします。よって、設定値を超える強風時にはブレード(羽根)の面を風向きに平行になるように制御し、ブレーキ装置によって風車を安全かつ自動的に停止させます。

(5)が誤りです。燃料電池発電は、水素と酸素との化学反応(発熱反応)を利用して直流の電力を発生させます。また、電気エネルギーとしての利用だけでなく、化学反応で発生する熱は給湯などに利用することもできます。

発電時の騒音や振動については、水力発電の水車や風力発電の風車、火力発電のタービンのような回転体があるわけではないので、これらに比べて燃料電池発電では振動や騒音が小さいという特徴があります。

よって、(5)の「発電時の振動や騒音が大きい」という部分が誤りで、むしろ「発電時の振動や騒音は小さい」です。なお、(5)のその他の部分は正しい記述となっています。

以上から、正解は(5)です。

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