ループ回路(環状配電線路)と分岐回路の電圧降下が計算問題としてよく取り上げられます。
前項では、ループ回路を取り上げたので、この項では実際に電験三種の問題として出題された分岐回路を例に、分岐回路の電圧降下についての計算方法を解説します。
分岐回路の電圧降下
まずは以下の図を見てください。
条件:
- 配電線路は単相2線式
- 点aと点cの線間電圧の差=12[V]
- ab間の回路1線当たりの電圧降下vab=3.75[V]
- 負荷の力率は全て100[%]で、線路のリアクタンスは無視できる
上記の条件のとき、bc間の回路1線当たりの電圧降下vbc[V]と負荷電流ib[A]、ic[A]を計算により求めることができます。
このような条件下では、電圧降下vbc[V]は比較的簡単に求まります。点aと点cの線間電圧の差が12[V]ですが、これは単相2線式の2線分なので、1線あたりだと6[V]ということになります。また、条件でab間の回路1線当たりの電圧降下(vab)も3.75[V]と与えられているため、vbc[V]は
となります。
続いて負荷電流を求めますが、線路の末端であるic[A]を先に計算すると良いです。icはbc間を流れる電流の大きさと全く一緒なので、bc間の電圧と抵抗がわかれば、オームの法則で電流も求められます。電圧(vbc)は上記の計算結果の通り、2.25[V]で、抵抗はrbc=0.9[Ω/km]と100[m]を合わせると0.09[Ω]となります。
よって、
となります。
また、ib[A]のほうは直接求めることができないため、先にab間を流れる電流(iabとします)を求めてから、これとicとを使って求めます。ちなみに、ab間の抵抗はrab=0.3[Ω/km]と250[m]を合わせるので0.075[Ω]となります。
つまり、
のように計算できます。
以上が分岐回路の電圧降下に関する計算問題の一例でした。前項のループ回路と合わせて、ぜひ計算方法の流れを押さえておいてください。
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