ビル管理士試験 2019年 問178 問題と解説

 問 題     

建築物衛生法に基づく特定建築物内のねずみ等の防除に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 環境的対策は、特定建築物維持管理権原者のもとで当該区域の管理者が日常的に行う。
  2. 食料取扱い区域などのねずみ等が発生しやすい場所では、6カ月以内ごとに発生状況調査を実施する。
  3. 調査は、目視調査や聞取り調査を重点的に行い、トラップ調査は実施しなくてよい。
  4. IPM(総合的有害生物管理)における「警戒水準」とは、すぐに防除作業が必要な状況をいう。
  5. IPMに基づくねずみ等の防除では、定期的・統一的な薬剤処理を行う。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)は正しいです。よってこれが正解となります。

特定建築物を維持管理する責任を負うのは特定建築物維持管理権原者です。よって、建築物衛生法の規定では、環境的対策は、特定建築物維持管理権原者のもとで当該区域の管理者が日常的に行うことになっています。

なお、機器や薬剤を使って調査したり防除したりするといった実際の作業をPCO(ねずみ等の防除業者)に委託することは可能です。あくまで、建築物衛生法では責任の所在をはっきり明記しているということです。

(2)で、ねずみ等が発生しやすい場所では2カ月以内ごと、それ以外の場所では6カ月以内ごとを目安に、発生状況調査を実施します。

(3)で、目視調査や聞き取り調査も重要ですが、ねずみやゴキブリなど夜行性のものも多く、これらだけではカバーしきれない部分もあるので、トラップ等による捕獲調査も必要です。

(4)の説明は「警戒水準」ではなく、「措置水準」のことです。生息調査の結果として判定される水準には、以下の3つがあります。

  • 許容水準:良好な状態で、このまま維持したい
  • 警戒水準:現状で大した問題はないが、放っておくと問題が生じるかもしれない
  • 措置水準:状況は悪く、すぐに防除作業が必要

(5)に関して、この試験でたびたび使われる「ねずみ等」という言葉は、「ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物」のことです。つまり、ねずみ以外にゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、シラミ、ダニなども含みます。

このように対象が様々である上、その発生数や発生した部屋の状況などもそれぞれなので、定期的・統一的な薬剤処理というのはあまり価値がありません。薬剤を不必要に乱用することなく、そのときの状況に応じた適切な薬剤処理が求められます。

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