問 題
殺虫剤やその有効成分に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
- メトフルトリンは、常温揮散でも効力を発揮する。
- ULV処理には、専用の油剤を使用する。
- ジフルベンズロンは、幼若ホルモン様化合物である。
- 乳剤は、煙霧処理に使用される。
- KT50の値が小さいほど、致死効力が高い。
解 説
(1)の記述は正しいので、(1)が正解となります。…ですが、これはややマイナーな知識であるため、知らなくても仕方ないと思います。この問題は(2)~(5)が基本的な内容なので、消去法で正解できれば充分です。
(2)で、ULVは「Ultra Low Volume」の頭文字から取っています。直訳では「超微量」ですが、対応する日本語訳は「微量濃厚散布」です。高濃度の薬剤を少量散布するために用いられます。これは油剤ではなく、多くは水性の乳剤です。
(3)で、ジフルベンズロンなどのキチン合成阻害剤は、幼虫の脱皮を阻害することで殺虫効果を発揮します。幼若ホルモンとして作用することで、蛹化や成虫化を阻害するのは、ピリプロキシフェンとなります。
(4)は(2)の解説にもある通り、乳剤を使うのはULV機による散布などです。煙霧処理には油剤を用います。
(5)のKT50は殺虫剤の速効性を示す数値となります。KT50の値が小さいほど、速効性が高いです。
KT50、IC50、LD50、LC50の用語の意味は以下の通りですが、これらの区別は重要なので、ぜひ優先的に押さえておきたい知識です。
KT50は「Knock-down Time, 50%」の略で、全体の50%がノックダウンする時間を示しています。これは、殺虫剤の速効性を示す数値となります。
IC50は「Inhibitory Concentration, 50%」の略で、50%阻害濃度と訳されます。50%の幼虫が成虫になるのを阻害され、成虫になれなくする濃度のことです。
LD50は「Lethal Dose, 50%」の略で、日本語にすると「半数致死量」のことです。その薬をある一定量投与したときに対象動物(虫)の半数が死んでしまう量を指すので、この半数致死量が少なければ、「少量の毒で死ぬ=強力な毒」ということになります。
LC50は「Lethal Concentration, 50%」の略で、日本語にすると「半数致死濃度」のことです。空間中や水中にある薬を撒いたり溶け込ませたりしたとき、対象動物(虫)の半数が死んでしまう濃度を指します。LD50は直接投与する量ですが、LC50では環境中の濃度であることがポイントです。
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