ビル管理士試験 H30年 問172 問題と解説

　問 題　　　　　

殺虫剤やその剤型に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1. 有機リン剤を有効成分とするマイクロカプセル(MC)剤がある。
2. 乳剤は、水で希釈すると白濁(乳濁化)する。
3. ピレスロイド剤によりノックダウンした虫は、蘇生する場合がある。
4. フィプロニルを有効成分とするゴキブリ用の食毒剤がある。
5. ジクロルボスは、残効性が高い殺虫剤である。

　解 説　　　　　

ジクロルボスは、樹脂蒸散剤の成分として挙げられる代表例です。ジクロルボスそのものは揮発性が高いため、速効性に優れる一方で残効性は低いという特徴があります。そこで、効果を長持ちさせるため、合成樹脂にジクロルボスを練り込んで徐放性の製剤にしたものが樹脂蒸散剤です。

この問題とは直接関係ありませんが、樹脂蒸散剤は、密閉性が保たれている空間の成虫防除に効果を発揮する薬剤で、チョウバエ類対策などに使われます。密閉空間では1～3カ月間の効果が期待できますが、開放空間ではガスが拡散してしまうので効果が期待できません。

以上から、(5)の「ジクロルボスは、残効性が高い」という記述が誤りで、正しくは「残効性が低い」となります。