ビル管理士試験 H30年 問113 問題と解説

 問 題     

給水設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 建築物の揺れ、地盤の不等(不同)沈下、配管の振動等による変位の吸収のために、ショックアブソーバを配管に取り付ける。
  2. 木製貯水槽は、断熱性能が低いため、結露対策が必要である。
  3. ポンプ直送方式は、一般に下向き配管が採用される。
  4. 飲料用貯水槽の流入管は、波立ち防止を考慮して水没させることが望ましい。
  5. 鋼管に形成された腐食電池回路のアノード部とは、電池回路の電極が水中に流出する部分である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は「ショックアブソーバ」ではなく、「可とう継手」とするのが正しいです。

ショックアブソーバとは、振動する機械構造や建築物の振動を減衰する装置のことを指す言葉で、給水設備においてはウォータハンマ防止器として用いられます。

(2)で、木製貯水槽は断熱性に優れるため、結露は問題になりません。

ガラスや陶器のコップに冷たい水を入れると、あっという間にコップに水滴が付きます。一方、木の器であれば水滴がつくようなことはありません。これがイメージできれば、(2)は誤りであると気づきやすいと思います。

(3)について、ポンプ直送方式は、受水槽に貯留した水を直送ポンプ(加圧ポンプ)で必要箇所に直接給水する方式です。

受水槽は地上(1階)か地下にあるのが普通なので、一般的には上向き配管方式が用いられます。

(4)で、流入管を水没させてしまうと、流入管から吐水されるのではなく、水が逆流してしまう恐れがあります(逆サイホン作用)。これは給水管内の汚染につながるので、避けなければいけません。

よって、流入管吐水口の位置は定水位面よりも高くして、吐水口空間を設ける必要があります。

ちなみに、吐水時の波立ちを防止するためには、防波板を設置するのが有効です。

(5)に関して、今回はこれが正しい文章ですが、カソードとアノードの説明が逆になっている問題もよく出題されるので、しっかり区別して覚えておいてください。

カソードは溶液から電極に向かって電流が移動する極のことを指します。一方、アノードは逆に、電極から溶液に電流が移動する極のことを指します。

(5)は電極から溶液に向かう話なので「アノード部」で合っています。よって、これが正しい記述です。

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