問 題
ゴキブリの防除に関する次の文章についての解析・評価として、最も適当なものはどれか。
レストランのちゅう房内で、チャバネゴキブリ防除のために、殺虫剤処理を行った。殺虫剤の処理前に、3箇所に3日間配置した粘着トラップでの捕獲数が合計180匹であった。処理後に3箇所に4日間配置したトラップでの捕獲数は合計24匹であった。
- 処理前のゴキブリ指数は60である。
- 処理後のゴキブリ指数は8である。
- この殺虫剤処理による防除率は90%である。
- 建築物における維持管理マニュアルに示される標準的な目標水準に基づけば、処理後の状況は「警戒水準」に該当する。
- すぐに再度の防除作業を実施する必要はなく、6ヵ月以内に1回、発生の多い場所では2ヵ月以内に1回、定期的な調査を継続する。
解 説
(1)と(2)に関して、ゴキブリ指数というのは、1トラップ1日あたりの捕獲数です。つまり、全捕獲数をトラップ数で割り、さらに日数で割った値となります。
よって、(1)の処理前については、
となります。また、(2)の処理後については、
となります。以上から、(1)も(2)も誤りです。
(3)について、駆除率とは、駆除によるゴキブリの減少率のことです。算出に用いるのは駆除前のゴキブリ指数と駆除後のゴキブリ指数ですが、上記の数値を使うと、
と計算できるので、これは正しい記述です。
(4)は「警戒水準」の部分が誤りで、正しくは「措置水準」となります。
生息調査の結果として判定される水準には、以下の3つがあります。
- 許容水準:良好な状態で、このまま維持したい
- 警戒水準:現状で大した問題はないが、放っておくと問題が生じるかもしれない
- 措置水準:状況は悪く、すぐに防除作業が必要
上記までは重要事項として覚えておくべきです。ただし、この問題はそれだけではわからず、標準的な目標水準を知っていなければ判断することができません。ややアドバンスな内容になりますが、ゴキブリ指数が1以上なら措置水準、0.5以上1未満なら警戒水準、0.5未満なら許容水準となります。
とはいえ、この問題は消去法ではなく、(3)が正しいことを的確に答えられれば問題ないので、標準的な目標水準を知らなくても正解に至ることはできます。
(5)の記述は、(4)で紹介した3つの水準のうち、「許容水準」の際の説明文です。許容水準は良好な状態なので、(5)のような内容で定期的な調査を行えば充分です。
一方、今回の状況は「措置水準」なので、ただちに防除作業を行わなければいけません。よって、これも誤りの記述です。
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