ビル管理士試験 H29年 問76 問題と解説

 問 題     

空気調和設備のポンプ・配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ポンプのキャビテーションを防止するには、常に有効吸込みヘッドが必要有効吸込みヘッドより大きいことが必要である。
  2. 損失水頭は、管内流速の2乗に比例する。
  3. 水撃作用の防止には、緩閉式逆止弁を用いる方法がある。
  4. サージングとは、脈動を伴う不安定な状態をいう。
  5. 渦流ポンプは、ターボ型ポンプに分類される。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

正解は(5)で、渦流ポンプは「ターボ型ポンプ」ではなく、「特殊型ポンプ」に分類されます。ちなみに、名前の似ている渦巻きポンプは「ターボ型ポンプ」に分類されます。

…ですが、この知識はかなりマニアックだと感じる一方、残る(1)~(4)は結構重要な知識といえます。よって、この問題は消去法で解くのがよいと思います。

(1)に関して、キャビテーションというのは、次のような現象です。

まず、流水中で圧力の低い部分ができると、水の一部が気化して水蒸気となって気泡を作ります。続いて、この気泡が圧力の高い部分へ移動するとその圧力に押しつぶされ、配管などに衝撃を与えて配管などに損傷を与えます。この一連の現象がキャビテーションです。

キャビテーションは配管の損傷のほか、騒音や振動、ポンプ吐出量の減少などの悪影響があります。

よって、(1)にあるように有効吸込みヘッドに余裕を持たせておけば、衝撃を少なくすることができるので、これは正しい記述といえます。

(2)に関して、ポンプで揚水する際の効率は100%にはならず、どうしても少しの損失が出てしまいます。揚水の工程で失うエネルギーのことを損失水頭といい、これは(2)にあるように、管内流速の2乗に比例します。

管内を流れる水の流速が速いほど、配管や機器との摩擦が大きくなるため、結果的に流速の2乗に比例した損失が出ます。

(3)について、ポンプが急停止した際などに水撃作用が生じますが、この対策として、逆止弁を用いるのが有効です。逆止弁には急閉式と緩閉式とがありますが、これはどちらも水撃作用対策として有効です。

急閉式であれば、ポンプ急停止による逆流が起こる前に弁を閉じることで水撃を防ぎます。一方、緩閉式であれば、逆流によって生じる圧力変動を緩和することができるので、水撃をやわらげることができます。

(4)について、サージングとは、ポンプが故障していたり空気が混入したりして流量が確保できていないとき、脈動を伴う不安定な運転となる状態のことです。

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