ビル管理士試験 H28年 問50 問題と解説

 問 題     

浮遊粒子の動力学性質のうち、粒径が大きくなると数値が大きくなるものとして、最も適当なものは次のどれか。

  1. 終末沈降速度
  2. 荷電数が等しい粒子の電気移動度
  3. 拡散係数
  4. 水平ダクトにおける鉛直面への沈着速度
  5. ブラウン運動による移動量

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)の終末沈降速度は、最終的に等速直線運動をしながら沈んでいるときの速度のことです。これはストークスの式に従うので、終末沈降速度は粒径の2乗に比例します。つまり粒径が大きくなると数値も大きくなるので、これが正解です。

(2)の電気移動度は、電界中の電荷をもつ粒子の移動速度を電界強度で除した値です。荷電数が変わらないときは粒径が大きくなると電荷をもつ粒子の移動速度が小さくなるので、電気移動度も小さくなります。よって、粒径が大きくなると数値が小さくなります。

(3)について、球形粒子の拡散係数は粒径に反比例します。よって、粒径が大きくなると数値が小さくなります。

(4)の沈着速度は、単位時間当たりの沈着量を気中濃度で除した値です。

たとえば水平ダクトにおいて粒径の大小で沈着量がどう変わるかについて考えると、粒径が大きいものは重力によってすぐに沈むので、水平面に沈着する量が増えます。一方で、粒径が小さいものはなかなか沈まず、鉛直面まで達する量が多くなることが想像できると思います。

つまり、粒径が大きくなると垂直面への沈着量が少なくなるので、鉛直面への沈着速度は小さくなります。

(5)について、ブラウン運動は、粒子が溶媒や気体の分子と衝突することで起こる不規則な運動です。粒径が小さいほうが周りの分子と衝突することで大きく動かされますし、空間的にも移動しやすいため、小さいもののほうがブラウン運動は起こりやすいといえます。よって、粒径が大きくなると数値が小さくなります。

以上から、正解は(1)です。

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