ビル管理士試験 2021年 問77 問題と解説

 問 題     

換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 水分の回収を必要としない場合の熱回収には、空気対空気の顕熱交換器が用いられる。
  2. 空気対空気の全熱交換器では、空調システムとして十分な温度処理、湿度処理はできないため、二次空調機が必要となる。
  3. 外気処理ユニットとは、冷媒直膨コイル、全熱交換器、加湿器、フィルタ等を組み込んだユニットである。
  4. ヒートポンプデシカント調湿型外気処理装置では、暖房時において効果的な相対湿度の維持管理が期待できる。
  5. 厨(ちゅう)房、倉庫、各種機械室等では、換気設備が単独で設置されることが多い。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(4)のヒートポンプデシカント調湿型外気処理装置は、ヒートポンプ方式とデシカント方式を組み合わせることで、潜熱・顕熱を分離して制御できる空調システムです。

これにより、室内の温度と湿度をそれぞれ分けてコントロールできるので、夏の冷房時に設定温度は高めでもうまく除湿することで快適性を追求する…といった、従来の空調システムでは難しかった温湿度管理を実現することができます。

このシステムの仕組みとしては、まずデシカント(乾燥材)によって部屋中の水分(潜熱)を集めて溜めておき、その後、温度(顕熱)を調整します。この状態では部屋の湿度が低すぎるので、溜めておいた水分(潜熱)を必要に応じて再放出することで加湿するというものです。

以上のように「除湿 → 温度調節 → 必要な分だけ加湿」という工程をとっているため、冷房時の除湿についてはかなり狙い通りのコントロールができます。

一方で、暖房時の加湿についてはあまり得意ではありません。というのも、上記の通り、最初に部屋にあった水分を集めて、その後再放出する形で湿度を調整しているため、最初から存在する水分以上のものが供給されるわけではないからです。

よって、(4)の「暖房時において効果的な相対湿度の維持管理が期待できる。」というのが誤っているので、正解は(4)となります。

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