問 題
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」という。)における感染症の類型に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一類感染症では、交通が制限されることがある。
- 二類感染症では、建物の立ち入りは制限されない。
- 三類感染症では、就業制限される職種がある。
- 四類感染症では、積極的疫学調査は実施されない。
- 五類感染症には、ジアルジア症が含まれる。
解 説
感染症法に基づく主な措置は、厚生労働省が公開しているこちらの資料の2ページ目によくまとまっています。しかし、ここにある表の内容をしっかりと覚えている受験者は少ないと思うので、この問題は難易度の高い問題だといえます。
この問題を考えるにあたって前提となる知識として、感染症の法的な分類は一類~五類まであり、感染力や重篤度などを加味して、より危険度が高そうな感染症を一類としています。以下、二類、三類…となるにつれ、やや危険度が下がります。
それらの代表例を以下に記載します。今回の設問にはあまり使えませんが、各類の代表的な感染症は頻出なので、なるべく覚えておきたい知識です。
- 一類:エボラ出血熱、ペスト
- 二類:結核、ジフテリア
- 三類:コレラ、赤痢
- 四類:つつが虫病、デング熱、日本脳炎、レジオネラ症
- 五類:B型肝炎、C型肝炎、風しん、麻しん、百日咳
(1)で、一類感染症は最も危険な感染症が該当するので、交通の制限もやむを得ません。よって、これは正しいです。ちなみに、一類の場合は交通だけでなく、建物の立ち入りも制限されます。また、隔離もあり得ます。
(2)で、二類感染症は一類ほどの危険性はないので、交通や建物への立ち入りは制限されません。よって、これも正しいです。ちなみに、一類と二類の場合、入院の勧告や措置が行われます。
(3)で、三類感染症は上記の通りコレラや赤痢が当てはまります。三類とはいえそれなりに重い感染症なので、就業制限がなされる場合もあります。もちろん、より重い一類や二類の場合でも就業が制限されます。よって、これも正しいです。
(4)で、一類~五類感染症は、どれも放置できるような疾病ではありません。よって、いずれの類に関しても積極的疫学調査が実施されるので、(4)の記述が誤りとなります。
(5)はマイナーな知識なので気にしなくてもよいと思いますが、記述の通り、ジアルジア症は五類です。しかし、五類の例として頻出なのは、B型肝炎、C型肝炎、風しん、麻しん、百日咳あたりなので、これらを優先して覚えてほしいです。
以上から、正解は(4)となります。
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