ビル管理士試験 H30年 問167 問題と解説

 問 題     

蚊の防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 昆虫成長制御剤(IGR)は、幼虫や蛹(さなぎ)に対する速効的な致死効果が認められない。
  2. 浄化槽の殺虫剤処理後も成虫の発生数が減少しない場合は、薬剤抵抗性の発達を考慮する必要がある。
  3. 排水槽内に設置した粘着トラップで捕獲した蚊の数では、槽内の成虫密度を評価できない。
  4. 樹脂蒸散剤は、密閉性が保たれている空間では、1~3カ月間の効果が期待できる。
  5. 乳剤に含まれる界面活性剤や有機溶剤は、浄化槽内の浄化微生物に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(3)について、この方法は排水槽内の成虫の発生状況を知るのによく使われる調査方法です。

よって、(3)の「評価できない」の部分が誤りです。

また、(1)は正しい記述ですが、重要事項なので詳しく解説しておきます。

昆虫成長制御剤(IGR)は、幼虫や蛹の成長の過程において薬剤が作用して、致死効果を得るものです。しかし、成長に必要なタンパクやホルモンの合成を阻害するというメカニズムのため、効果にはやや時間が掛かります。

以上のように、昆虫成長制御剤(IGR)は上記のように成長過程に作用するメカニズムのため、蚊の成虫に対しては効果がありません。

よって、(1)は「速効的な」致死効果がないという意味で正しい文章ですが、幼虫や蛹に対する致死効果自体はある点に注意してください。一方、成虫に対する致死効果はありません。

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