ビル管理士試験 H29年 問180 問題と解説

 問 題     

衛生害虫や殺虫剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 殺虫剤抵抗性は、様々な系統の殺虫剤に繰り返し接触することによる免疫の獲得によって発達する。
  2. 昆虫などに対する不快感の程度は、第三者による客観的な判断が困難である。
  3. 殺虫剤の速効性は、LD50の数値で評価される。
  4. 農薬は、建築物衛生法に基づく特定建築物内でのゴキブリの防除に使用できる。
  5. ドバトの建築物への営巣は、ヒトに対するヒゼンダニの寄生被害の原因となる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)は誤りが2箇所あります。まず、「様々な系統の殺虫剤」ではなく、「同一の殺虫剤」です。また、「免疫の獲得」も誤りで、正しくは「薬剤抵抗性の遺伝子の獲得」となります。

(2)は正しい記述です。昆虫などに対する不快感は、好みや慣れも関わってくるので、客観的な判断は難しいです。

(3)について、LD50というのは「Lethal Dose, 50%」の略で、日本語にすると「半数致死量」のことです。

つまり、その薬をある一定量投与したときに対象動物(虫)の半数が死んでしまう量を指しますので、この半数致死量が少なければ、「少量の毒で死ぬ=強力な毒」というわけです。よって、殺虫剤の速効性とは関係ありません。

殺虫剤の速効性はKT50の数値で評価されます。KT50は「Knock-down Time, 50%」の略で、全体の50%がノックダウンする時間を示しています。

(4)で、農薬は文字通り、農業のために用いられる薬剤です。建物の中にいるゴキブリの防除とは用途が全然異なります。

(5)のドバトは鳩の一種で、日本では最もよく見かける種類です。一方、ヒゼンダニはヒトの皮下に寄生し、疥癬の原因となります。

ヒゼンダニによる被害は、高齢者福祉施設や病院等で起こりやすいですが、特にハトの巣が影響しているといった傾向は見られません。よって、これは正しい記述とはいえません。

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