ビル管理士試験 2024年 問61 問題と解説

 問 題     

次の空調熱負荷のうち、潜熱負荷を含む対象として、最も適当なものはどれか。

  1. 照明からの発熱負荷
  2. ガラス窓からの通過熱負荷
  3. 外気負荷
  4. ダクト通過熱負荷
  5. 送風機による負荷

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

潜熱と顕熱については、温度変化を伴う熱が顕熱、状態変化のように温度変化のない熱が潜熱です。空調機で状態変化するものといえば湿気(水と水蒸気)なので、空調機における全熱・顕熱・潜熱はそれぞれ次のように関連付けて覚えてください。

  • 全熱:顕熱と潜熱
  • 顕熱:温度の変化
  • 潜熱:水蒸気量(蒸発・結露)の変化

これは重要事項として必ず覚えておきたい知識です。このことを前提として、各選択肢について確認していきます。

(1)で、照明器具による発熱で温度が変わることがあるため、これは顕熱負荷といえます。一方で、水蒸気を発生させるわけではないので、潜熱負荷にはなりません。

(2)で、ガラス窓から熱が通過することで室内の温度が変化することはあっても、ガラス窓が閉まっていれば水分を含んだ空気そのものが出入りするわけではないので、水蒸気量は変化しません。よって、これも(1)と同様、顕熱負荷のみです。

(3)で、外気負荷は外気を取り入れるので、外気そのものが冷たい(もしくは暖かい)というのが顕熱の部分であり、外気に含まれる水蒸気が室内に入り込むので、水蒸気が状態変化(結露)すれば潜熱となります。よって、これは顕熱負荷と潜熱負荷の両方を含みます。

(4)で、ダクトでの熱の出入りは、主に周囲との温度差による顕熱です。ダクト内部での結露なども全くないわけではありませんが、(3)のような明確な換気ではないので、無視できる程度の影響だと考えてください。そのため、(4)は顕熱負荷のみとなります。

(5)で、送風機による負荷はやや複雑で、冷房時と暖房時で考え方が異なります。

冷房時には、送風機の発熱(=顕熱)によって室内に熱が足されるので、冷房によって取り除かないといけない熱が増えます。つまり、冷房時には送風機による顕熱負荷が発生します。ちなみに、潜熱負荷は生じません。

しかし、暖房時には冷房時とは違って、この発熱は暖房が供給するべき熱を減らす方向に働きます。そのため、これはデメリットではなくメリットになるので、暖房負荷の計算時には顕熱負荷を無視するのが一般的です。なお、冷房時と同様に潜熱負荷は生じません。

以上のように、冷房時と暖房時で顕熱負荷の有無が変わりますが、いずれにせよ潜熱負荷は生じません。

よって、潜熱負荷を含むのは(3)の「外気負荷」なので、正解(3)となります。

 

(4)と(5)で、これらは(1)と同様で、ダクトや送風機自体が状態変化をして熱負荷を加えるわけではないので、(4)も(5)も「顕熱」のみが該当します。

以上から、潜熱負荷を含むのは(3)の「外気負荷」なので、正解(3)となります。

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