問 題
鉄骨構造とその材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 梁(はり)部材には、形鋼や鋼板の組立て材などが用いられる。
- 鋼材の強度は温度上昇とともに低下し、1,000℃でほとんど零となる。
- 鉄骨構造は耐食性に乏しいため、防錆(せい)処理が必要である。
- 骨組の耐火被覆の厚さは、耐火時間に応じて設定する。
- 鋼材の炭素量が増すと、一般に溶接性が向上する。
正解 (5)
解 説
(1)は正しいです。特に、鉄骨構造の梁としてH形鋼などが多く用いられます。
(2)も正しいです。高温になればなるほど鋼材は柔らかくなり、1,000℃程度でドロドロになって強度がゼロとなります。
(3)も正しいです。鉄骨構造は、耐震性には優れていますが、耐火性や耐食性には乏しいです。そのため、錆びないように防錆処理が必要となります。
(4)も正しいです。これは知識として知らなくても、耐火時間に応じて耐火被覆の厚さを変える必要があるのは、イメージしやすいと思います。
(5)が誤りです。鋼材に炭素を混ぜると、引張り強さと硬さが増しますが、もろくなるため、靭性は低下します。
なお、靭性とは、英語でtoughness(タフネス)といい、直訳すると、粘り強さ、粘さなどの意味になります。より厳密には、物質破壊に対するエネルギーを指します。
また、「硬さ」と「もろさ」は別のものなので注意してください。例えば、角砂糖は硬いですが、崩そうと思えば簡単に粉々になるので、もろいです。プリンやゼリーは柔らかいですが、力を加えてもなかなか崩れません。粘り強さがあります。
よって、鋼材の炭素量が増すと、引張り強さと硬さが増し、もろくなります。これでは溶接しにくくなるため、(5)の記述は反対で、正解は(5)となります。
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