問 題
体温の調節における熱産生と熱放散に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 基礎代謝とは、睡眠時のエネルギー代謝のことをいう。
- 高温環境では発汗や血流量が増加し、代謝量は上昇する。
- 熱産生量は人体の活動状況によって異なり、作業量が増せば増加する。
- 日本人の基礎代謝は夏の方が冬よりも低い。
- 低温の環境では震えによって熱産生量が増加する。
正解 (1)
解 説
(1)が誤りです。基礎代謝とは、「早朝覚醒後の空腹時で仰臥姿勢のエネルギー代謝」を指す言葉です。つまり、仰向けになってじーっと過ごしているという、生きるのに最低限必要な状態でのエネルギー代謝が基礎代謝となります。
(2)は正しいです。高温環境下では、体温の上昇に伴って熱産生量も上昇します。そして、そのまま体温が上がり過ぎないよう、発汗や血流量が増加するため、代謝量も上昇します。
(3)も正しいです。安静時よりも身体を動かしているときのほうが身体が温まるというのは、経験的に知っているかと思います。記述の通り、作業量が増せば熱産生量は増加します。
(4)も正しいです。記述の通り、基礎代謝は夏のほうが冬よりも低い(=冬のほうが夏よりも高い)です。
というのも、ヒトは恒温動物なので体温は36~37℃くらいで常に一定です。夏であっても冬であってもそれは変わりませんが、冬は外気温が低いので、体温を37℃に保つためにはたくさん代謝して熱量を生産しなければなりません。よって、冬のほうが基礎代謝量は高くなります。
(5)も正しいです。寒くて震えるのは熱を産み出して身体を温めるためです。よって熱産生量は増加します。
以上から、正解は(1)となります。
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