問 題
湿り空気と湿度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 湿り空気の温度が一定の状態で絶対湿度を増加させると、比エンタルピーは増加する。
- 露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。
- 湿り空気において、絶対湿度が上昇すると水蒸気分圧は上昇する。
- 絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。
- 絶対湿度が一定の状態で温度が低下すると、相対湿度は上昇する。
正解 (4)
解 説
湿り空気線図(h-x線図)とは、以下のような図です。
上図を見るとわかるように、4つの軸が次のパラメータに対応しています。
- 横軸:乾球温度[℃]
- 縦軸:絶対湿度[kg/kg(DA)]
- 右上がりの軸(左上がりの線):湿球温度[℃]
- 左上がりの軸(右上がりの線):相対湿度[%]
(1)で、温度一定で絶対湿度を増加させると上図の赤矢印の向きとなります。
ここで、比エンタルピーは、乾き空気の質量あたりの熱量を指すパラメータです。これは大体湿球温度と同じような軌跡をたどります。
赤矢印の向きは湿球温度が上昇する向きなので、比エンタルピーも増加することになります。よって、(1)は正しいです。
(2)で、露点温度とは、相対湿度100%のときの温度です。上図青線を見るとわかる通り、相対湿度が100%で湿球温度が10℃なら、乾球温度も10℃です。また、湿球温度20℃のところで確認すると、乾球温度も20℃となります。
よって、露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度が常に等しいので、(2)も正しいです。
(3)で、水蒸気分圧とは、湿り空気中の水蒸気の持つ分圧のことです。絶対湿度が上昇すれば空気中の水蒸気が増えることになるので、その分だけ水蒸気分圧は上昇します。よって、(3)も正しいです。
(4)で、絶対湿度が上昇すると、上図白丸から赤丸に移動します(赤矢印)。すると、移動後は露点温度が高くなることがわかります。よって、(4)の「絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。」は反対なので、誤りです。
(5)で、絶対湿度が一定なので、上図緑矢印のような向きになります。すると、相対湿度は100%に近づくので、上昇することがわかります。よって、(5)は正しいです。
以上から、正解は(4)となります。
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