問 題
熱移動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 中空層の熱抵抗は、一定の厚さ(2~5cm)までは厚さが増すにつれて増大するが、それ以上ではほぼ一定となる。
- 固体内の熱流は、局所的な温度勾配に熱伝導率を乗じて求められる。
- 密度が大きい材料ほど、一般に熱伝導率は小さくなる。
- 同一材料でも、一般に熱伝導率は温度によって異なる。
- 同一材料でも、一般に内部に湿気を多く含むほど熱伝導率は大きくなる。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。空気は優れた断熱効果を有していて、一定の厚さ(2~5cm)までは厚いほど熱抵抗が大きくなるので、厚いほど断熱効果が大きくなります。しかし、それ以上では熱抵抗がほぼ変わらず、断熱効果が頭打ちになります。
(2)も正しいです。熱流[W/m2]は、温度勾配[K]と熱伝導率[W/(m・K)]の積で求めることができます。
(3)が誤りです。密度が大きい材料ほど、熱伝導率は大きくなる傾向があります。
熱伝導率は一般的には、固体で大きく、液体は普通で、気体は小さいです。水の入ったお鍋に火をかけたとき、鍋(固体)は触れないほど熱く、水(液体)は徐々にお湯になっていき、周辺の空気(気体)はほんのり温かくなることからも、この関係が予想できます。
密度が大きいということは熱を伝えやすい固体がぎゅっと詰まっているということなので、熱伝導率は大きくなります。
(4)は正しいです。記述の通り、同一材料でも熱伝導率は温度によって異なります。
(5)も正しいです。(1)の解説の通り、空気は断熱効果が高いので熱伝導率は小さいです。内部に湿気を多く含むということは、その分だけ内部にあった空気が追い出されるので、断熱効果が下がり、熱伝導率が大きくなります。
以上から、正解は(3)です。
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