問 題
電離放射線の健康影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 脱毛は、放射線の早期影響の一つである。
- 電離放射線により発生する代表的な悪性腫瘍として、白血病がある。
- 急性放射線熱傷は、通常の熱傷に比べて初期には痛みがない。
- 妊娠可能な婦人へのX線の骨盤照射は、月経開始後10日以内に行う。
- 微量な線量であっても影響が発生する可能性があることを、確定的影響と呼ぶ。
解 説
(1)は正しいです。放射線の身体的影響には、早期影響と晩発影響があります。早期影響とは放射線を浴びてからすぐに生じてくる影響のことで、晩発影響とは数年とか数十年経ったのちに現れてくる影響のことです。
早期影響には、不妊、皮膚潰瘍、白血球減少、脱毛などがあります。また、晩発影響には、白内障や悪性腫瘍(甲状腺がん、白血病、皮膚がん)、胎児の障害などがあります。
(2)も正しいです。(1)の解説の通り、主な悪性腫瘍として、甲状腺がん、白血病、皮膚がんが挙げられます。
(3)も正しいですが、出題頻度の低い知識であるため、スルーしても構わないと思います。
(4)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、妊娠可能な婦人の骨盤照射は、妊娠していた場合に胎児に悪影響が出てしまわないよう、月経開始後10日以内に行う規定となっています。
(5)が誤りです。閾値があるときの健康影響を「確定的影響」といい、閾値がないときの健康影響は「確率的影響」といいます。
閾値があれば、それ未満の量であればどれだけあっても全く影響が出ない、という意味で結果が確定しています。閾値がなければ、どんなに少ない量であっても、もしかしたら影響が出てしまう、という意味で確率的な話となります。
電離放射線の生体影響は、閾値のないもの(=確率的影響)を覚えておいて、それ以外は全て確定的影響と考えるのがよいと思います。というのも、確率的影響のほうが出題されやすい上、出てくる影響が大体決まっているからです。
電離放射線の生体影響のうち、確率的影響は以下の3つです。それ以外のもの(脱毛や不妊など)は、閾値がある確定的影響であると考えてください。
- 悪性腫瘍(がん)
- 遺伝子異常
- 白血病
よって、(5)の記述は「確定的影響」が誤りで、この部分を「確率的影響」と直すと正しい文章になります。
以上から、正解は(5)です。

コメント