ビル管理士試験 2024年 問173 問題と解説

 問 題     

殺虫製剤やその有効成分(原体)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 殺虫剤抵抗性の発達を回避するために、作用機構が同一の数種の殺虫成分を選定し、それらを有効成分とする製剤をローテーション処理する。
  2. ピレスロイドとは、除虫菊の花に含まれる殺虫成分やその類似化合物の総称である。
  3. 現在、我が国で有機塩素系殺虫成分を有効成分とする乳剤が使用されている。
  4. ペット用のノミやマダニ駆除を標榜(ひょうぼう)する殺虫製剤は、農林水産省が所轄している。
  5. トコジラミ用の殺虫製剤や忌避製剤は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく、医薬品、医薬部外品としての承認が必要である。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)が誤りです。殺虫剤抵抗性は、作用機構が同一の薬剤が繰り返し使用されることによる淘汰によって発達します。

よって、殺虫剤を使う側としては、虫が抵抗性を獲得するのを防ぐために、作用機構が「異なる」何種類かの殺虫剤を、ローテーションしながら使っていくのが有効な手段となります。

(2)は正しいです。除虫菊に含まれる殺虫成分や、合成された類似物質を総称して、ピレスロイドと呼びます。

(3)も正しいです。有機塩素系殺虫剤は、残留性や環境汚染などの問題から、その使用が禁止または大幅に制限されています。しかし、代替品がないなどの理由で例外的に認められているものもあるため、現在でも一部で使用が続けられています。

(4)も正しいですが、マイナーな知識なので気にしなくてもいいと思います。ペット向けに使用されるノミやマダニなどの殺虫製剤は、動物用医薬品として扱われる場合が多いです。そして、動物用医薬品は農林水産省の所轄となります。

(5)も正しいです。害虫などの防除では、「医薬品」または「医薬部外品」として承認されている薬剤を使用することができます。

「医薬部外品」というのは、「医薬品以外の全てのもの」という意味ではなく、「医薬品ではないが特定の効果を有するもの」として、きちんと承認された製品群のことです。

以上から、正解は(1)となります。

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