問 題
音と振動に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 対象振動が正弦波の場合、振動加速度の実効値は、加速度の最大振幅の1/2で求められる。
- 遮音とは、壁などで音を遮断して透過する音のエネルギーを小さくすることである。
- 測定対象音が暗騒音より10dB以上大きい場合には、測定値は対象騒音であると判断できる。
- コインシデンス効果が生じると、壁体の透過損失は減少する。
- 人体に対する振動を扱う場合は、振幅と同時に振動の方向を明確にしなければならない。
解 説
(1)が誤りです。正弦波(サインカーブ)においては、実効値は最大値の1/√2倍となります。これは振動加速度の場合に限った話ではなく、正弦波の特徴です。よって、振動加速度の実効値は、加速度の最大振幅の「1/2」ではなく、「1/√2」で求められます。
(2)は正しいです。遮音とは、壁などで音を遮断して、透過する音のエネルギーを小さくすることです。
(3)も正しいです。暗騒音とは、ある騒音環境下で対象とする特定の音以外の音の総称のことです。暗騒音という用語の意味はたびたび出題されているので、重要知識としてぜひ覚えておいてください。
ここで、対象音の測定値が暗騒音の測定値よりも数dB大きい程度だった場合、対象音の測定結果は色々な音(対象音とその他の環境音)が混ざった数値となっています。よって、対象音を正しく評価するためには、測定音に対して暗騒音による影響の除去が必要となります。
一方で、対象音が暗騒音よりも10dB以上大きい場合には、対象音が周りの音よりも極端に大きいということなので、その測定値はそのまま対象音が発している音であると判断することができます。
(4)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、コインシデンス効果とは、壁体の振動と音波の振動とが共振を起こし、特定の周波数域の防音性能が下がる現象をいいます。また、透過損失とは、遮音性能を示す数値で、大きいほど防音性能が高いということになります。
よって、コインシデンス効果が生じると防音性能が下がるので、壁体の透過損失は減少します。
(5)も正しいです。人体の振動応答は、振動加速度の大きさだけでなく振動の方向によっても大きく異なります。そのため、人体振動を評価する際は振幅だけでなく振動の方向に関する情報も必要となります。
以上から、正解は(1)となります。
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