ビル管理士試験 2024年 問39 問題と解説

 問 題     

電離放射線に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. ベータ線やアルファ線は粒子線である。
  2. X線の遮蔽には、鉛の板などを用いる。
  3. 細胞で放射線感受性が最も高いのはリンパ球である。
  4. 放射線の健康影響のうち、発がんは確定的影響に分類される。
  5. 胎児は放射線被ばくに対して高感受性である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいですが、出題頻度の低い知識であるため、スルーしても構わないと思います。

(2)も正しいです。電離放射線のうち、α線は紙一枚で遮断できます。β線は紙一枚では遮断できませんが、薄い金属板を使うと遮断することができます。また、γ線やX線は薄い金属板でも遮断できませんが、厚い鉛や鉄の板を使うと遮断することができます。

(3)も正しいです。電離放射線の感受性が最も高い細胞は、リンパ球です。「リンパ球」のところをほかのものに変えて誤った選択肢として出題されることもあるため、正しく覚えておいてください。

(4)が誤りです。「確定的影響」の部分が誤っていて、これを「確率的影響」とすれば正しい文章になります。

閾値があるときの健康影響を「確定的影響」といい、閾値がないときの健康影響は「確率的影響」といいます。

閾値があれば、それ未満の量であればどれだけあっても全く影響が出ない、という意味で結果が確定しています。閾値がなければ、どんなに少ない量であっても、もしかしたら影響が出てしまう、という意味で確率的な話となります。

電離放射線の生体影響は、閾値のないもの(=確率的影響)を覚えておいて、それ以外は全て確定的影響と考えるのがよいと思います。というのも、確率的影響のほうが出題されやすい上、出てくる影響が大体決まっているからです。

電離放射線の生体影響のうち、確率的影響は以下の3つです。それ以外のもの(脱毛や不妊など)は、閾値がある確定的影響であると考えてください。

  1. 悪性腫瘍(がん)
  2. 遺伝子異常
  3. 白血病

(5)は正しいです。記述の通り、胎児は放射線を被ばくしたときに大きな影響を受けやすいです。

以上から、正解は(4)となります。

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