問 題
騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 騒音の測定において用いられるA特性は、人の耳の感度に近い特性を組み込んでいるものである。
- 事務室の騒音レベルは、一般に50~60dBである。
- 騒音性難聴の初期の特徴は、4,000Hz付近の音に対する聴力低下である。
- 騒音による永久性の聴力障害がほとんど起こらないのは、1日の曝露(ばくろ)騒音として等価騒音レベルが85dB以下のときである。
- 血圧の上昇は、騒音による健康影響の一つとして知られている。
解 説
(1)は正しいです。A特性音圧レベルは、人の聴覚の周波数特性を考慮して騒音を評価するものです。一方、何の補正もせずに音圧レベルを測定したそのままの結果が、C特性音圧レベルです。B特性もありますが、これはマイナーなので気にしなくて大丈夫です。
(2)も正しいです。この数値を正確に覚える必要はないと思いますが、50~60dBであれば静かでもなく騒々しくもない中程度の数値なので、事務室の騒音レベルはこのくらいだろうと判断することができます。
(3)も正しいです。騒音によって起こる4,000Hz付近の聴力低下を「C5ディップ」といいますが、これが生じると騒音性難聴とされます。本来は聴き取りやすい4,000Hzが聴こえづらくなるというのが、騒音性難聴の初期症状の特徴です。
(4)が誤りです。時間によって変動する騒音は、等価騒音レベルによって評価されます。一般的に、1日の曝露騒音として等価騒音レベルが70[dB]未満であれば、永久性の聴力障害はほとんど起こりません。
よって、(4)の「85dB以下」が誤りで、正しくは「70dB未満」となります。
ちなみに、別の年度では、正しい文章として「騒音レベル85dB以上の騒音に長期間曝(ばく)露されると、聴力に障害が起こる。」というのが出題されたことがあります。
つまり、永久性の聴力障害は、70[dB]未満ならほぼ問題なく、85[dB]以上だと高リスクということになります。70~85[dB]の間は人によって聴覚障害になったりならなかったりというグレーゾーンです。
(5)は正しいです。騒音によって自律神経系が刺激されると、末梢血管の収縮、血圧の上昇、胃の働きの抑制などが起こります。
以上から、正解は(4)です。
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