ビル管理士試験 2023年 問48 問題と解説

 問 題     

湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 絶対湿度が一定の状態で、温度が上昇すると相対湿度は低下する。
  2. 相対湿度が同じ湿り空気では、温度が高い方が比エンタルピーは高い。
  3. 乾球温度が同じ湿り空気では、絶対湿度が高い方が水蒸気圧は高い。
  4. 露点温度における湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。
  5. 比エンタルピーが同じ湿り空気では、温度が高い方が絶対湿度は高い。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

湿り空気線図(h-x線図)とは、以下のような図です。

上図を見るとわかるように、4つの軸が次のパラメータに対応しています。

  • 横軸:乾球温度[℃]
  • 縦軸:絶対湿度[kg/kg(DA)]
  • 右上がりの軸(左上がりの線):湿球温度[℃]
  • 左上がりの軸(右上がりの線):相対湿度[%]

(1)では、絶対湿度が一定の状態で温度が上昇すると、上図の赤矢印の向きに動きます。すると、相対湿度はどんどん下がっていくことがわかるので、(1)は正しいです。

(2)で、比エンタルピーは、乾き空気の質量あたりの熱量を指すパラメータです。これは大体湿球温度と同じような軌跡をたどります。

ここで、相対湿度が同じ湿り空気なら、温度が高くなるほど、上図の橙色矢印のように右上に動きます。このとき、湿球温度は上がっていくので、比エンタルピーも高くなると判断できます。よって、(2)も正しいです。

(3)で、水蒸気圧とは、湿り空気中の水蒸気の持つ分圧のことです。絶対湿度が上昇すれば空気中の水蒸気が増えることになるので、その分だけ水蒸気分圧は上昇します。よって、(3)も正しいです。

(4)で、露点温度とは、相対湿度100%のときの温度です。上図青線を見るとわかる通り、相対湿度が100%で湿球温度が10℃なら、乾球温度も10℃です。また、湿球温度20℃のところで確認すると、乾球温度も20℃となります。

よって、露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度が常に等しいので、(4)も正しいです。

(5)に関して、(2)で解説した通り、比エンタルピーは湿球温度と同じような軌跡をたどります。つまり、(5)の記述は、湿球温度を一定に保ちながら乾球温度を上げればよいので、上図水色矢印のような向きに動きます。

よって、乾球温度が高いと絶対湿度は低くなっていくことがわかるので、(5)の記述は反対であると判断できます。

以上から、正解は(5)となります。

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