問 題
高齢者における温度環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 一般に若年者に比べて暖かい温度を好むとされている。
- 寒さに対する感受性は若年者に比べて高い傾向にある。
- 冬季における深部体温は、若年者に比べて低い傾向にある。
- 放射熱がない場合、高齢者の8割を満足させる気温の範囲は青年に比べて狭い範囲となる。
- 寒冷環境に曝露(ばくろ)された際の血圧の変動が、若年者に比べて顕著である。
正解 (2)
解 説
(1)は正しいです。高齢者は熱産生が若年者ほど盛んでないため、若年者よりも暖かい温度を好む傾向があります。
(2)が誤りです。高齢者では、寒さに対する感受性の低下が観察されます。そのため、(1)と含めて考えると、高齢者のいる部屋の室温は、若年者のための室温よりも少し高めにしておくほうが、高齢者の身体には望ましいです。
(3)は正しいです。深部体温とは、文字通り、身体の深部にある脳や臓器などの温度のことです。高齢者の場合、熱産生が若年者ほど盛んでないため、冬季における深部体温は若年者に比べて低い傾向にあります。
ちなみに、ここでは「冬季」と限定していますが、これにこだわる必要はありません。季節を問わず高齢者の深部体温は若年者よりも低い傾向にあるのですが、寒い冬のほうが熱産生の役割が重要となり、年齢差が顕著に現れやすいというだけの話です。
(4)も正しいですが、これはあまり気にしなくていい選択肢だと思います。若年者のほうが熱産生も熱放射も活発で温度調節機能が働きやすいので、満足できる気温の範囲が広くなります。
(5)も正しいです。冬に心血管疾患で亡くなる高齢者の方が多いですが、これは、寒冷環境に曝露された際の血圧の変動が顕著であることが一因となっています。
以上から、正解は(2)です。
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