ビル管理士試験 2023年 問7 問題と解説

 問 題     

建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. ホルムアルデヒド以外の測定は、2か月以内ごとに1回、定期に実施する。
  2. ホルムアルデヒドの測定結果が基準値を超えた場合は、空調・換気設備を調整するなど低減措置を実施後、速やかに測定を行う。
  3. 浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率及び二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値とする。
  4. 通常の使用時間中に、各階ごとに、居室の中央部で実施する。
  5. 特定建築物において大規模修繕を行った場合は、完了後、その使用を開始した日以降最初に到来する6月1日から9月30日までの期間中に1回、ホルムアルデヒドの測定を行う。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)は正しいです。空気環境測定は2か月以内ごとに1回です(ただし、ホルムアルデヒドは除きます)。

(2)が誤りです。ホルムアルデヒドの基準値が超えているのに、換気だけで解決しようとするのは不適切です。そうではなく、発生原因を特定してそれに対処することが求められます。

ホルムアルデヒドの発生源には、複合フローリング材や合板が挙げられます。その理由は、これらに使われる塗料や接着剤の成分に、ホルムアルデヒドが含まれていることがあるためです。よって、ホルムアルデヒドを低減するためにはこれらの材料を交換するなどの対応が効果的です。

ホルムアルデヒドの基準値が超過した場合は、これらの低減措置を実施した後、再び測定を行うことになります。

(3)は正しいです。温度・湿度・気流の3項目は、全ての測定回で常に基準値を満たさなければいけません。一方、浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素の3項目については、各回の平均値が基準値を満たしていれば問題ありません。

(4)も正しいです。空気環境の測定は、通常の使用時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置において行います。高さについては、座っている人や立っている人の口元の位置を目安にしているからです。また、階数が多い場合でも各階ごとの測定が必要となります。

(5)も正しいです。ホルムアルデヒドの測定時期は「新築・増築、大規模の修繕、大規模の模様替えを完了し、当該建築物の使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回、実施すること。」と定められています。

というのも、ホルムアルデヒドは新築や改築したてのときが一番濃度が高く、あとは徐々に抜けていくので毎年測定する必要がないからです。

また、期間が夏(6月~9月)に限定されているのは、夏場のほうが気温が高く、ホルムアルデヒドが気化しやすいからです。ホルムアルデヒド濃度が高い時期に測定をして問題がなければ、年中大丈夫、という考え方です。

以上から、正解は(2)となります。

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