ビル管理士試験 2022年 問77 問題と解説

 問 題     

空気調和設備の配管とポンプに関する語句の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

  1. 伸縮継手      温度変化による配管応力の吸収
  2. キャビテーション  吐出量の低下
  3. サージング     有効吸込みヘッド(NPSH)
  4. 配管系の抵抗曲線  全揚程
  5. 水撃作用      衝撃音の発生

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は正しいです。伸縮継手は、その名の通り伸縮性のある継手です。これにより温度変化による配管応力(熱膨張や熱収縮)を吸収することができるので、配管へのダメージが減らせます。

(2)も正しいです。まず、流水中で圧力の低い部分ができると、水の一部が気化して水蒸気となって気泡を作ります。続いて、この気泡が圧力の高い部分へ移動するとその圧力に押しつぶされ、配管などに衝撃を与えて配管などに損傷を与えます。この一連の現象がキャビテーションです。

キャビテーションは配管の損傷のほか、騒音や振動、ポンプ吐出量の減少などの悪影響があります。

(3)が誤りです。サージングとは、ポンプが故障していたり空気が混入したりして流量が確保できていないとき、脈動を伴う不安定な運転となる状態のことです。

一方、有効吸込みヘッド(NPSH)とは、流水中で水圧と水蒸気圧との差を示すパラメータです。有効吸込みヘッドが常に必要有効吸込みヘッドよりも大ければキャビテーションが起こりにくくなるため、これは「サージング」ではなく「キャビテーション」の発生に関係の深い用語といえます。

(4)は正しいです。配管系の抵抗曲線は流量と全揚程の関係を表わす曲線のことです。ちなみに、全揚程は損失水頭と実揚程の和です。

(5)も正しいです。ポンプが急停止した際などに水撃作用が生じますが、これにより大きな衝撃音が発生します。余談ですが、水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いるのが効果的です。

以上から、正解は(3)となります。

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