ビル管理士試験 2022年 問66 問題と解説

 問 題     

蒸気圧縮冷凍サイクルに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 凝縮器により冷媒が液化する。
  2. 圧縮機により冷媒の比エンタルピーが増加する。
  3. 膨張弁により冷媒の圧力が低下する。
  4. 蒸発器により冷媒がガス化する。
  5. 冷凍サイクルでは凝縮器、圧縮機、膨張弁、蒸発器の順に冷媒が循環する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

蒸気圧縮式冷凍機は、圧縮機 → 凝縮器 → 膨張弁 → 蒸発器 → 圧縮機 → …というサイクルで廻っています(もちろん、サイクルなのでどこがスタートというわけではありません)。

よって、(5)の順番が誤っているので、正解は(5)です。

試験本番ではこれ以上深入りする必要はないと思いますが、ここでは他の選択肢についても考えていきます。

下図は、蒸気圧縮式冷凍機を図示したものと、それに対応するモリエル線図です。

蒸気圧縮式冷凍機の各工程と比エンタルピーや圧力の変化は以下のようになります。上図を見ながら確認していってください。

まず、圧縮機ではガス化した冷媒を圧縮します。このとき、冷媒の比エンタルピーと圧力が上がります。よって、比エンタルピーと圧力が最も高い「ア」が圧縮機の出口直後に相当します。

続く凝縮器では、冷媒を液化させます。ここでは比エンタルピーは低下しますが、圧力変化はありません。モリエル線図でいえば、凝縮器の入口が「ア」、途中で「イ」を経て、出口では「ウ」となっています。

そのあとの膨張弁は、液化した冷媒をその名の通り膨張させます。膨張する分、圧力は低下しますが、比エンタルピーに変化はありません。モリエル線図では、膨張弁によって「ウ」が「エ」に移ります。

最後の蒸発器では、液体の冷媒をガス化(蒸発)させます。ガス化は冷媒が周囲の熱を奪って行われるので、この段階が冷凍機としてのメインの働きをしています。また、これは凝縮器で液化させたときの反対なので、比エンタルピーは増加しますが、圧力変化はありません。モリエル線図では、蒸発器によって「エ」が「オ」に移ります。

このあと、圧縮機に戻ってサイクルが1周します。

以上から、(1)~(4)はいずれも正しい文章と判断することができます。

よって、正解は(5)です。

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